jMatsuzakiの「自己啓発書評」
7つの習慣を日本に持ち込んだジェームス・スキナーの『100%』
2015.11.20
ジェームス・スキナー氏をご存知でしょうか。彼はかの『7つの習慣』を日本に持ち込み、広めた立役者です。
初めて日本で出版された旧訳版の7つの習慣は彼の翻訳によるものです。そして、当時日本では無名だった7つの習慣のためにキングベアーという出版社を自ら立ち上げ、日本国内で7つの習慣を出版しました。結果、7つの習慣は多くの日本人に愛され、日本国内だけで200万部を超えるベストセラーになったというわけです。
たった1つの原則「100%」
本書ではたった1つの原則として「100%」を説いています。どのような人間であれ、どのような状況であれ、恐怖や不安や怠惰をはねのけ100%の力を出すことができれば、あらゆる望みを現実化できるという原則です。
本書の冒頭で、著者はこんなふうに語りかけます。
あなたの人生は何%だろうか。
そして、それでいいのだろうか。
「第1部 人生の選択」より抜粋
考えてみると、100%の人生を送るのは予想以上に難しいことです。ほとんどの人は70%以下の人生で妥協しているのではないでしょうか。悪くはない人生。しかしそれは、妥協しているということに他ならないのです。
では、100%の人生を送るにはどうすればいいのでしょうか。いくつかポイントをご紹介しましょう。
結果より原因について決意する
年末年始に1年の目標を立てている人は多いでしょう。10年や20年の計画を立てている人もいるかもしれません。
計画に書かれているのは何でしょうか。売上アップとか、コスト削減とか、賞の受賞とかが書かれているのではないでしょうか。
本書では、そういった目標の立て方について警笛を鳴らします。
結果ではなく、その原因に対して、決意をしなければならない。
「第1部 人生の選択」より抜粋
まさに!結果について決意するのは簡単です。売上アップもコスト削減も嬉しいことですから。嬉しいことを決意するのは誰にでもできるのです。
本当に決意しなければならないのは原因のほうなのです。売上アップのために新しい企画をいくつも形にする。コスト削減のために業務プロセスを細かく分析する。こういった原因づくりはときに苦役になります。だからこそ決意しなければならないのです。
年とともに経験は増えているか?
20年の経験をもっている人がいる。しかし、1年の経験を20回繰り返しているだけの人もいる。
「第2部 愛と冒険への道」より抜粋
なぜ年齢を重ねても同じ経験しかできないのか?その最たる要因は「惰性」から抜け出せないためでしょう。
本書によると、この惰性には大きく3つの種類があります。
1つ目は「悪癖を続けること」です。昨日もやったから、毎年やっているから、いままでこうやってきたからという理由だけで、価値の低い行動が習慣化されて惰性的な習慣になったものです。
2つ目は「権威に逃げること」です。上司がこういっているから、偉人がこういっているから、プロがこういっているから、という理由だけで自分の選択をしようとしないことです。
そして3つ目が「文化に流されること」です。常識と言い換えてもいいでしょう。みんながやっているから、日本の常識だから、家系的な伝統だから、という理由でほとんど無意識のうちに自分の行動を決めてしまっているのです。
達成方法がわかる目標は小さすぎる
目標を設定するとき、達成方法がわかれば、その目標は小さすぎる。
「第2部 愛と冒険への道」より抜粋
なんと力強い言葉でしょう。多くの人は現実的に実行できるかわからないことを目標に設定するのは恐怖を感じると思います。
しかし、現実的に実行できるかわからないからこそ目標にするのです。もし現実的な目標であれば、それはまさに惰性の域を出ていないということです。
正しい目標設定のプロセスは、非現実的な目標を設定したあとに、現実的な手段を設定することです。
予定をまとめれば自由時間が増える
ジェームス・スキナー氏は、時間管理に関する本を何冊も出版している時間管理の達人でもあります。
本書では考え方やあり方に関することだけでなく、それを実現するための具体的な時間管理手法にも触れられています。
予定をまとめれば、自由に使える時間が増える!
(中略)
中断から回復する時間は、中断よりも長い!
「第3部 成功者の時間管理」より抜粋
私たちの働き方は、どうしても様々な仕事を目一杯つめ込む働き方をしがちです。会社では仕事が詰め込まれているほど、仕事ができると思われるなんてこともよくあります。
しかし、本書では真逆の時間管理を推奨しています。何の用事も入れずに重要な仕事のために集中した時間をなるべく長く確保すること。これが100%の力を発揮するための時間管理の極意なのです。
秘められたる力に目覚めさせてくれる一冊
本書は一言でいえば秘められたる力に目覚めさせてくれる一冊です。しかもその方法は、突飛でリスクのある方法を実行せよということではありません。自分の力を抑制せず100%発揮するように行動することだけなのです。
余力を残すな。
明日のためにセーブしてはならない。
今日、すべてを人生のグラウンドに投げ打て!
第4部 100%の法
また、本書には章ごとに何種類ものワークが紹介されています。このワークをすべてやってみると、100%の力を発揮するために何をすべきで何が障害となっているかわかるようになっています。まったくもってGreeeeeat!
この本を読み、ワークを実践してみると、自分が普段どれだけ手加減して生きていたかを実感します。そして、そのブレーキを外すだけで、世界はみるみるうちに変わっていくでしょう。そんな夢と希望と未来にあふれた素晴らしい一冊です。
貴下の従順なる下僕 松崎より
執筆者紹介
松崎純一(jMatsuzaki) IT系専門学校を卒業後、システム屋として6年半の会社員生活を経て独立。 ブログ「jMatsuzaki」を通して、小学生の頃からの夢であった音楽家へ至るまでの全プロセスを公開することで、のっぴきならない現実を乗り越えて、諦めきれない夢に向かう生き方を伝えている。 2015年からはjMatsuzaki名義でバンド活動を開始。 ブログ:jMatsuzaki(http://jmatsuzaki.com/)
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