特集

人口減少時代の採用戦略


ヤマト運輸がドライバーを正社員登用 人手不足業界で進む「正社員化」の流れ

2018.04.19

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正社員と非正規社員との間の「理由のない待遇格差」を改善すべく、政府は働き方改革の柱のひとつとして「同一労働同一賃金」を提唱している。正社員の待遇を下げ、非正社員との格差を是正しようとする企業もある中で、積極的に非正規社員を「正社員化」する企業も出始めてきた。背景には、労働市場の深刻な「人材不足」問題があるようだ。

目次
  1. 「物流業界の労働需給は逼迫している」
  2. 人材不足を背景に進む、民間企業の「正社員化」の流れ
  3. 非正規社員の「正社員化」によって受けられる国の補助金も
  4. 「同一労働同一賃金」を前提に、変化が進む労働環境

「物流業界の労働需給は逼迫している」

これまでは荷物を集配するセールスドライバーを契約社員として採用し、約2年後に選考を経て一部の社員を正社員化するという社内制度を採用していたヤマト運輸。今年5月から、今後フルタイムのセールスドライバーとして新たに入社する社員のすべてを「正社員」として採用すると発表した。契約社員として在籍中の約5千人のフルタイムの契約社員についても、人事評価などの一定の要件を満たした希望者を正社員化する。(参考:セールスドライバーの正社員採用について│ヤマト運輸株式会社

背景には、物流業界全体の深刻な人手不足がある。アマゾンなどの大規模なECサイトの登場で宅配便の取扱個数は2016年度までの5年間で18%増と急増する一方、人手不足から一人ひとりのドライバーにかかる負担は増し、その過酷な労働環境が周知されるようになってきた。ヤマトでも2016年に残業代の未払いが発覚するなど、物流業界の「ブラック」イメージには拍車がかかり、人材は集まりにくくなっている。

「セールスドライバーの採用は中途採用の場合が多いのですが、物流業界全体の労働需給が逼迫していて、人材が集まりにくい状況が続いています。物流業界の有効求人倍率は他の業界よりもかなり高く、優秀な人材を継続的に採用することは重要な経営課題となっています」と、ヤマト運輸の広報担当者は話す。同社は「働き方改革」を経営目標の中心に据えており、「引き続き労働環境の整備、人事制度の見直しを進めていく」という。ヤマト運輸の新卒採用サイトヤマト運輸の新卒採用ページでは、「働き方改革」が大きく取り上げられている。

人材不足を背景に進む、民間企業の「正社員化」の流れ

民間企業が深刻な人材不足を背景に非正規雇用の社員を「正社員化」する動きは、近年目立ち始めている。今年4月から、化粧品メーカー・ファンケルは契約社員971人全員を「地域限定正社員」として正社員化。賞与や年間休日を増やし、健康診断も法定項目以上に充実させるなど、大幅な待遇改善がはかられる。同社はその理由として、「商品販売の職業の有効求人倍率は上昇傾向(2017年11月:1.98倍)にあり、人材不足が懸念されています。長く、安心して活躍できる環境を整えることと、採用競争力の強化のために新しい雇用区分を設けました」としている。

パチンコ大手のダイナムやマルハンも今年から、非正規社員を正社員化することを発表(対象人数はそれぞれ約700人と約500人)。いずれも「少子高齢化による労働力人口の減少」を背景としてあげており、有効求人倍率が他業種より高く、人材獲得に危機感を募らせている企業ほど、現社員の離職を防ぎ、新規採用でもより優秀な人材を獲得できるよう、非正規社員の待遇改善に乗り出すケースが多いようだ。

非正規社員の「正社員化」によって受けられる国の補助金も

2018年4月は、5年前の労働契約法の法改正で定められた「無期転換ルール」の適用がスタートする時期でもある。このルールは、期限付きの契約の非正規社員として5年勤めると、労働者が「無期雇用」の権利を得られるというものだ。このタイミングで、これまで非正規社員を「正社員」として無期雇用する上記企業のような例も増えているが、一方では、このルールから逃れるために非正規社員の雇用契約を止めてしまう「雇い止め」を実施する事業主も存在している。

厚生労働省は「無期転換」が進むよう、非正規社員の待遇を改善した場合に事業主に支払われる助成金「キャリアアップ助成金」を用意している。非正規の社員を正社員化する過程で助成金を受け取ることができるほか、健康診断の拡充や研修の機会を設けるなど、正社員と比べて格差のあった労働環境を是正した際にも、認定されれば助成金を受け取ることができる。あまり知られていないが、無料で電話相談や事務所訪問などの支援をしてくれる「働き方改革推進支援センター」も47都道府県に設置している。

参考:働き方改革推進支援センターのご案内│厚生労働省

「同一労働同一賃金」を前提に、変化が進む労働環境

企業の正社員・非正規社員の間の合理的な理由のない待遇の差を解消する「同一労働同一賃金」を、働き方改革の重要な柱として掲げる政府。

厚生労働省は「雇用の安定がもたらす労働者の意欲や能力の向上や、企業活動に必要な人材の確保に寄与する」と、無期雇用のメリットをあげる。今後、人材獲得競争が激化することが見込まれる中では、国の制度をうまく活用しながら、労働環境を整えていくことがますます求められていきそうだ。

執筆者紹介

安藤歩美(あんどう・あゆみ) 全国紙記者として東日本大震災の被災地報道や地方行政等を担当したのち独立。ニュースサイト「THE PAGE」でYahoo!ニュースに全国ニュースの解説記事を多数執筆。2016年、日本初のVR動画ニュースサイト TOHOKU360を立ち上げ、編集長に。東北各地を駆けめぐりながら、記事やVR動画などのさまざまな作品を企画・制作している。

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