コラム

社員に選ばれる会社の人事制度・人材開発


「評価面談」を上司・部下双方にとって有意義な機会にするためには?

2018.04.17

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4月から新たな年度がスタートしました。前年度の業績評価の最終評点を確定し、それに基づいたフィードバック(評価面談)を行う会社も多いでしょう。

今回は、評価面談を行う際に評価する側(上司)と評価される側(スタッフ)のそれぞれから見て、やった方がよいこと、やらない方がよいことについてご紹介したいと思います。これによって、上司とスタッフの間で気まずい空気が流れる場から人材育成の機会に変えることができるでしょう。

上司がとるべき3つの行動

評価面談における上司がとるべき3つの行動について取り上げたいと思います。

1.スタッフの自己評価を述べてもらう

「業績評価についてフィードバックを行う」ことが目的なので、いきなり上司側が具体的な評価内容やその理由などを話し出すケースがありますが、これは順番が異なっています。スタッフ側から「今回(前年度)の目標において、どのくらい達成したのか」さらに「自己分析したその理由」を話してもらうことが最初です。これによって、スタッフとの認識のズレの度合いや、スタッフの業務に対する認識度合いを掌握できるからです。

上司が最初に意見を言ってしまうと、自分の意見を押しとどめてそれに同調する、あるいは、想定と異なるため反発的な気持ちをいだいてしまう可能性が高くなります。それでは、評価面談そのものの目的が成り立たなくなってしまいますので、まずはスタッフの意見を聞くことを最優先しましょう。

2.ポジティブな点を最初に述べる

スタッフへのフィードバックでは、前期の業務における貢献を労った上で、「こういうところはよかった」「あの部分は大きな貢献だった」といったポジティブな点を具体的に話した後に、「こうすれば良かった」といった改善点を話しましょう。また、ポジティブな点・改善点のどちらにおいても、業務を遂行している中で発生した具体的な事実に言及するようにすることで、スタッフ側の「腹落ち度」が異なってきます。「具体的な事実」は、日頃からどれだけスタッフの仕事状況を「観察」しているのかが重要なポイントとなります。

また、問題発生時点では何も言わず、評価の場になって初めてフィードバックするのは避けましょう。特に改善点については、スタッフ側にとっては「何らかの至らなかった点」を指摘されることになります。たいていは数ヶ月経っていることもあり、その記憶が曖昧であることから「事実かどうかの論争」に陥る可能性が高いだけではなく、「なぜその時点では言わなかったのに今になって言うのか」と上司に不信感をいだくことにもつながるからです。

3.今期の目標についてディスカッションする

評価に関するフィードバックが終わると安心しがちですが、その流れのまま今年度の目標についてスタッフとディスカッションしましょう。この段階では、目標の確定というよりは後述するスタッフ側の意向を確認すると同時に、上司として何を期待しているのかを話す機会という位置づけです。「今年度どういうことを期待しているのか」について、事前に考えていることが前提です。

今期の目標に関しては、その後に確定させる必要があります。今期が始まる前までに目標設定ができているのが理想ですが、「前期の結果を考慮してから」決定する要素も多いでしょう。そのため、新しい評価期間(今期)がはじまった早い時期に確定させるのが、現実的な落としどころでしょう。

スタッフがとるべき2つの行動

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次に、スタッフがとるべき行動を2つあげたいと思います。フィードバックを受けるだけなので何も用意しなくてもよい、ということはなく、自身での前期の振り返りや次期の業務上の希望などを考えておきましょう。具体的には以下のとおりです。

1.目標に対する自己評価を用意する

上司から業績評価についてのフィードバックをもらう際に、各目標に対する自己評価を用意しましょう。評価シートによっては自己評価を記入する欄があるので、そこに記載した内容を確認しておき、他に備忘事項があればメモをしておけば十分です。上司に何を伝えたいのかを事前に考えておきましょう。普段から上司と業務についてのコミュニケーションをとっているならばその積み重ねなので、改めて準備することは少ないかもしれません。目標に対する自己評価を話すことから評価面談はスタートします。

最終評定を設けている会社の場合、ご自身の評価を直属の上司から伝えられた際にそれに対して不満を述べたとしても、残念ながらそれが覆ることは少ないでしょう。なぜなら、そこに至るまでに既に部門内だけではなく全社レベルで評価基準をあわせて、最終評定を決定しているからです。

もし、自分の自己評価内容と実際の評定や上司からのフィードバックに大きな差があった場合は、どうすればよいでしょうか? この場合は、今後のために「自分がたずさわっている業務について、上司と適宜情報共有などをしていたのか」を振り返っておきましょう。ご自身が認識しているほど上司が状況を把握していないため、思っている以上に上司が低く評価している可能性があります。あまりにも自分の認識と評価結果に乖離がある場合は、人事部門あるいはスピークアップ窓口に相談するという手法もあります。

2.今期は何をしたいのか素案を考えておく

今期の業務目標について、特にここは力を入れたいといった分野やチャレンジしてみたいことがあれば、アピールをした方がよいと思います。実際にそういった業務を行う機会があるかどうかという現実的なこととは関係ありません。業績評価のフィードバックをされた際に、「今期はこういうことをやってみたいと思っている」という希望を述べるのはとても良いタイミングです。仮に自分の希望が現在のレベルよりはるかに上回っていたものだとしても、そこに近づくためにどうすればよいのかといった視点で上司はアドバイス・サポートすることができるからです。「黙っていても上司は何かを察してくれる」ことは、まず無いと思ったほうがよいでしょう。

上司もスタッフも評価面談に際して事前にやるべきことがあります。どちらかだけが行えばよいというものではありません。また、評価制度における目標設定はMBO(Management by Objectives and Self control)がいいのか、現在注目されているOKR(Objective and Key Result)がいいのか、最終評点をつけるのかノーレイティングかという小手先のことだけにとらわれないようにしたいものです。業績評価が目的ではなく、評価面談そのものを、スタッフの育成あるいは自身のスキルアップのためのマイルストーンとして捉えることが大切です。

執筆者紹介

永見昌彦(ながみ・まさひこ) アルドーニ株式会社代表取締役。外資系コンサルティングファームなどで人事コンサルタントとして勤務した後、事業会社(ラグジュアリーブランド持株会社)で人事企画担当マネージャーとして人材開発・人事システム・人事企画を兼務。事業会社、コンサルティングファームの両面から人事に20年たずさわった経験を活かして、2016年にフリーランス人事プランナー・コンサルタントとして独立。2018年に法人化。現在、人事全般のプランニング・コンサルティング・実務にたずさわっている。

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