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採用の流儀~「ヤフー」編


「優秀か否か」よりも、重視するポイントとは?

2015.11.16

  • 採用
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離職率が激しいと言われるIT企業でありながら、「3年以内の新卒離職率2.5%」という驚異的な低さを誇るヤフー。1996年の創業以来、変化の激しい業界を生き抜き、今も成長を続ける元祖ITベンチャーだ。”社員の才能と情熱を解き放つ”人財育成で注目を浴びる同社。その入り口である人事採用手法について、同社人財採用部の部長・金谷俊樹氏(写真左)と竹内綾氏(写真右)に話を伺った。

「会社方針」「人事評価基準」「求める人財」すべては同じ価値観に基づく

ヤフーが求める人物像は、ヤフーのミッションである「情報技術で人々や社会の課題を解決する」に共感し、「ヤフーバリュー」を発揮できる人財です。これは、2012年に新経営体制に移行した際に、策定された経営方針に沿うものです。「課題解決って、楽しい」「爆速って、楽しい」「フォーカスって、楽しい」「ワイルドって、楽しい」――、特に「課題解決」の価値観を重視しています。この4つのバリューは人事評価に直結するので、採用時にもこの軸を強調し、そこに共感して力を発揮できそうな人財を採用します。

採用予定人数は公表していませんが、基本的に「優秀な人財は採れるだけ採る」というスタンスです。

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かつては、「ヤフーが欲しい人財か否か」を中心に選考をしていた時期もありますが、現在では学生側の「ヤフーに入社したい」と思う気持ちを尊重しています。

「ヤフーで働くことが人生で絶対必要な経験だ」と明確に理由を語れる学生に来てほしい。迷いが見えるうちは、何人かの面接者と何度でも面接を繰り返します。

「コーチングスキル」を持つ面接官

ヤフーには「上司は部下の才能と情熱を解き放つ」という人財開発のコンセプトがあります。上司は「自分で仕事をするな。部下が自分からやりたいと思うように、その才能と情熱を解き放て!」と上層部から繰り返し言われています。ゆえに、役職者以上は必修スキルとして、コーチングスキルを習得しています。

そんな役職者たちが面接を担当しているので、学生と面接していても「君は××を頑張ったと言うけど、君がやってきた〇〇の経験は、ヤフーの△△の業務にも生かせる経験じゃないかな?」などと、自然とコーチングに近い形になっていきます。

具体的な仕事説明も加えながら、相手の良さをどんどん引き出していく。学生は、面接を繰り返すうちにみるみる自信をつけていくので、自然と当社への志望度も上がってくるようです。

他社と迷っている学生がいたら無理に説得や引き留めはせずに、代わりにコンサルタントやコーチングがよく使う手法の「要素分解」を一緒にやります。「なぜその会社を志望するのか」「将来どんな仕事をしたいのか」「その仕事を通じて、将来どうなりたいか」など、一つずつ細かく要素に分解してあげて、本人にとってベストな選択を一緒になって考えています。

本気で、その子の将来だけを考えて向き合うので、どちらの道を選んでも本人も吹っ切れる。仮にヤフーに入社しなくても、そこまで人生に本気で向き合ってくれたヤフーのユーザーとしてきっといてくれる。

学生をお客さま扱いはしませんが、「学生は全員ヤフーユーザーだと思って接する。失礼な対応をしたら、ユーザーではなくなってしまう」という意識は、社員全員が持っています。

「新卒採用」と「中途採用」を同様に選考してはいけない

人財採用部では、過去に採用してきた方の「採用時の評価」と「勤務後の評価」を詳細に分析しています。その分析結果から、面接時の評価項目の見直しや、面接時の質問を本当に必要なものに絞り、どの質問を、どのタイミングで、どのように聞いていくかなどの工夫をしています。

例えばエンジニア職の採用であれば、「人物面」「技術面」は完全に担当を分けて、別の機会に実施するなど、随時、新しい取り組みを導入して採用手法を変化させています。エントリーシートもボリュームを書かせる年もありましたが、現在では評価に直結するポイントに絞っています。

新卒採用で私たちが絶対にやってはいけないことは、「採用すべき人財を落としてしまうこと」です。例えばエンジニア職採用なら、「就職活動ではじめてIT業界を見て、プログラミングに興味がわきました。この1ヵ月プログラミングが楽しくて、寝る間も惜しんでコードを書いています」と話すAさんと、「学生時代ずっとプログラミングの勉強をしていました。卒業論文では、最新の言語について書いています」と話すBさんとでは、圧倒的に後者が優位に見えてしまう。実際にBさんのような人財をこれまで積極的に採用していました。

しかし、即戦力が必要な中途採用ならともかく、新卒採用では「本当にAさんを落としていいのか」という議論になったんです。そこまでの情熱を持って物事に熱中ができるAさんは、非常に伸びしろがあるとも考えられる。新卒採用はあくまでも、ポテンシャルを重視するべきなのではないか。現在のヤフーの新卒採用は、そのポテンシャルを最大限に引き出す面接を行っています。

驚異の離職率2.5%。その秘訣とは?

現在、新卒入社の3年以内離職率は2.5%とIT業界においては驚異的に低い数字です。おそらくこれには2つの理由があります。1つは、冒頭のヤフーバリューに共感し頑張れる人を採用していること。繰り返しですが、人事評価もヤフーバリューに基づき評価されるので、そこがずれていたら、双方にとって不幸なことです。そのスクリーニングの責任が我々にあることを強く意識しています。

学生側に求めるのは「自分の人生において、ヤフーで働く必然性がある」と感じていること。人事側の判断基準は「ヤフーで働くことでこの人は本当に幸せになるか」です。

「ヤフーに入りたい!」と熱望してくれる非常に優秀で好印象の学生でも、その学生が仕事で実現したい目標がヤフーでは叶えられそうにないなら採用はしません。目指す方向がずれていると、絶対本人の幸せにはなりませんから。

もう1つは、100を超えるサービスを運用しているので、違うサービスに興味を持ったときにほとんどのキャリアは社内異動で希望が叶うことです。自ら手をあげられる自己申告型異動制度「ジョブチェン」を導入しているのもそのためです。「別部署に異動する必然性」と「別部署で働く方が本人の幸せにつながる」なら、そこは尊重します。本人が「楽しい!」と思って働ける部署環境の方が、パフォーマンスを最大限に発揮してもらえますから。

面接工夫のワンポイント ~Q&A~

Q:学生は、みなしっかりと面接対策をしてくるので、どうもその本質が見抜けません。ヤフーさんではどのような質問をされていますか?

A:学生に「あなたが学生時代一番頑張ったことはなんですか?」って聞くと、どうしても直近の印象深い経験や、短期の海外留学のエピソードのような「特別な経験」の答えになりがちですよね。当社では、「あなたが『やりきった経験』はなんですか?」という聞き方を質問しています。人に言わされて仕方なく「こなした」経験は、どれだけ大きな成功体験でもそれほど評価はしません。

自ら目標を定めて、ときには周囲を巻き込みながら、どれだけ本気で行動ができたか。成功体験でなくてもいい。意外とそこは本人も気が付いていないこともあるので、そこを引き出すのが、面接官の役目だと考えています。

金谷 俊樹さん
2007年入社。人財採用部長。採用、人財育成、研修、評価策定など一貫して人事領域を担当。現在は新卒採用業務の責任者。
竹内 綾さん
2013年入社。人財採用部にて、採用広報全体の戦略策定及び採用ホームページの制作や説明会の設計・運用など、企画から実装までを幅広く担当。

執筆者紹介

玉寄麻衣(たまよせ・まい) 1979年生まれ。立命館大学政策科学部卒業。外資系大手人材派遣・人材紹介会社で、営業として主に中小企業の人材採用をサポート。その後フリーランスのライターとなり、人材採用、人材育成、大学教育、広報・PR、企業経営等に関する取材・執筆を行う。

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