厚生労働省
厚労省、キャリアコンサルタントの能力要件を見直しへ
2018.04.11

厚生労働省は、「キャリアコンサルタントの能力要件の見直し等に関する報告書」を取りまとめ、3月26日に公表した。報告書では、キャリアコンサルタントが期待される役割を、従来の就職支援の観点にとどまらず、一人ひとりのキャリア自立の観点から、職業生活設計の支援を行うものとして整理している。
厚生労働省では、この報告書を踏まえ、今後のキャリアコンサルタント登録制度や関連施策の立案・運用改善などを行い、キャリアコンサルタントの養成や質の向上を図ることで、労働者などのキャリア形成支援を推進して行く予定だ。
キャリアコンサルタントは2016年4月から新たに国家資格制度して刷新され※、2019年2月末時点で約3万3千人が登録されている。以下、報道発表資料より。
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職業生涯にわたる職業生活設計支援に関する知識・技能の拡充・強化を提言
この報告書は、厚生労働省人材開発統括官が委嘱する職業能力開発専門調査員で構成される「キャリアコンサルタント登録制度等に関する検討会」(座長:桐村晋次 日本産業カウンセリング学会 特別顧問)での議論をまとめたものです。
報告書では、キャリアコンサルタントが期待される役割を、従来の就職支援の観点にとどまらず、一人ひとりのキャリア自立の観点から、職業生活設計の支援を行うものとして整理しています。具体的には、キャリア支援をより確実に幅広く行うために求められる知識・技能に関する能力要件の提言や、キャリアコンサルタントのさらなる活躍に向けた課題の提示、問題解決のための提言などを盛り込んでいます。
【報告書のポイント】
1 能力要件の見直しについて
キャリアコンサルタントに求められる社会的役割について、その拡大・深化を踏まえ、関連制度・施策の効果的運営、「働き方改革」や「人生100年時代構想」などの新たな政策的重要課題に関する役割の発揮、利用者のニーズやキャリアコンサルタントの活動実態といった視点から明確化するとともに、関係機関のヒアリングを通じて制度運用上の課題を把握し、見直しの具体的な事項を検討した。
検討の結果、クライアントや相談場面の多様化への対応、セルフ・キャリアドックなどの企業におけるキャリア支援、個人の生涯にわたる主体的な学び直しとキャリアアップなどの支援に必要となる知識や技能の拡充・強化、登録制度の創設時における必要性の変化や科目間での内容の重なりを踏まえた合理化を、能力要件への反映の方向性として提言した。
2 キャリアコンサルタント登録制度の枠組みや位置づけとの関連も含めて今後検討するべき事項について
キャリアコンサルタント登録制度などについて、キャリアコンサルタントの継続的な学びの機会創出、養成講習の選択制、キャリアコンサルティング職種技能士との関係整理、更新講習のレベルアップなどの視点から、統合的なアプローチにより引き続き検討を進め順次具体化を図ることを提言した。
キャリアコンサルタントの能力要件の見直し等に関する報告書【概要】(キャリアコンサルタント登録制度等に関する検討会)
検討の背景及び考え方
○キャリアコンサルタント登録制度(平成28年度4月創設)について、登録者数が約3万3千人(平成30年2月末時点)を超えるなど概ね円滑に施行。
○キャリア支援に関わる社会環境、産業構造・労働構造の変化や、労働政策上のキャリア支援の重要度の高まり背景に、キャリアコンサルタントに求められる社会的役割は拡大・深化。
⇒今後、職業生涯にわたる職業生活設計に関わる支援など、期待される役割をより確実に、かつ、幅広く担うために求められる知識及び技能について、能力要件として具体的に反映するための方向性を整理。
⇒キャリアに関わる社会的課題に対応したキャリアコンサルタントの活躍促進等に資するよう、課題の提示や解決に向けて提言。
能力要件の見直しについて
【全体像】:養成講習プログラムについて、現行140時間から拡充・強化(20時間程度増加)と合理化(10時間程度縮減)で150時間程度。主に演習を増加。
○拡充・強化事項:関連制度・施策の効果的運営、「働き方改革」や「人生100年時代構想」等の新たな政策的重要課題に係る役割発揮、利用者ニーズやキャリアコンサルタントの活動実態、関係機関ヒアリングにおける意見等の視点から検討。
・クライアントや相談場面が多様化してきていることを踏まえた、基本的スキルの一層の充実を図るための知識及び技能
・セルフ・キャリアドックをはじめとした企業におけるキャリア支援に関する知識及び技能
・個人の生涯にわたる主体的な学び直しと、これによるキャリアアップや再就職等の支援に関する知識及び技能
・社会環境変化や労働政策上の課題(例:職業生涯の長期化、仕事と治療の両立支援、子育て・介護と仕事の両立支援等)の解決に対する役割発揮の観点から必要な知識・技能
○合理化事項:登録制度の創設に伴う必要性の変化や科目間での内容の重なりを踏まえて検討
・「キャリアコンサルティングの社会的意義」の縮減(倫理については関係科目を統合の上、充実)
・「キャリアコンサルティングを行うために必要な知識」と「キャリアコンサルティングを行うために必要な技能」の一部統合
・「キャリアコンサルティングの社会的意義」と「キャリアコンサルタントの倫理と行動」の一部統合 等
<前提としての留意点及び制度運用上の課題>
・能力要件の4つの科目区分、技能士1級・2級を含めた関係資格の能力要件の垂直構造を踏襲
・時間数を際限なく増加させることの回避と養成講習実施機関及び受講者の負担への配慮
・更新講習(知識・技能)プログラムにも同様に反映、見直し前の養成講習修了者に対し見直し内容を補う更新講習を設定
・見直しに伴う養成講習実施機関等における対応の準備・移行期間として概ね1年半程度を設定 等
キャリアコンサルタント登録制度の枠組みや位置づけとの関連も含めて今後検討するべき事項について
○キャリアコンサルタントの役割や活動領域の拡大により、これに応じた知識や技能の充実が求められる一方で、それぞれの領域における活動に必要な知識や技能を全て国家資格取得段階で十分習得することが現実的に困難。
⇒キャリアコンサルタントの継続的な学びの機会創出、養成講習の選択制や技能士の試験科目等の設計など何らかの見直し、技能士との関係整理についての統合的なアプローチにより、将来的な登録制度及び同制度に関連する諸制度、さらにはそれらの運用や、制度の枠外での継続的な学び機会の創出を含めて、引き続き検討を進め、順次具体化を図ることを提言。
関連資料
PDF 別添1キャリアコンサルタントの能力要件の見直し概要(PDF:490KB)
PDF 別添2キャリアコンサルタント能力要件の見直しに関する報告書(概要)(PDF:175KB)
PDF 別添3キャリアコンサルタント能力要件の見直し等に関する報告書(PDF:750KB)
【報道発表資料「キャリアコンサルタントの能力要件の見直し等に関する報告書」より|厚生労働省・2018年3月26日】
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