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採用の流儀~「フェンリル」編


採用難のIT業界から生まれた秘策、VRゲーム「0次選考」のすべて

2018.04.12

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売り手市場が続く採用市場の中で、とりわけ採用競争が激化しているのがITの分野です。「企業が選ぶ時代」から「企業が選ばれる時代」に移り変わりつつある今、優秀な人材の獲得には、他社との差別化が必須となりつつあります。

大阪府に本社を置くITベンチャー、フェンリル株式会社は、VR技術を活用したユニークなアプリ「0次選考」を製作し、新聞やウェブメディアをはじめ、多くのメディアに取り上げられています。フェンリル株式会社は、なぜ「VRアプリ」を活用した採用活動をはじめたのか?  企画者がその内幕を語ります。

新卒採用のためにVRアプリを制作

 坪内 陽佑氏
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フェンリル株式会社デザイン部企画課課長

ダブルクリック株式会社、サイバーコミュニケーションズ株式会社を経て、フェンリルに入社後、プランナーとして大手クライアントの新規アプリやウェブサービスのプランニング、コンサルティングに従事。「0次選考」のプランニングも担当。

 


フェンリル株式会社の坪内といいます。

フェンリルでは、新卒採用のためにVRアプリ「0次選考をつくりました。なぜこのアプリを作るに至ったのか、どんなアプリなのか、アプリを作ったことでどんなことが起きたのか、順にご紹介します。

フェンリルをご存知ない方も多いと思うので、簡単に会社についてご説明させていただきますと、当社はいわゆるソフトウェアの開発会社です。アプリ開発を生業としていまして、従業員はグループ全体で300名を超え、設立は2005年となっています。私は企画課というところで課長をさせていただいており、本日ご紹介する「0次選考」の企画者でもあります。

17卒~18卒で、エントリー数が約300人減少

「何をやったか」というご説明の前に、「なぜやったのか」ということをご説明させていただきます。

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こちらは、フェンリルの17年卒と18年卒の新卒採用の状況をまとめた資料です。17年卒では、エントリー数は1020名、一次面接者111名、入社者は9名という結果でした。そして18年卒です。17年卒から特に施策は変えていないのですが、エントリー数が676名と、17年卒と比べ300人以上減りました。その代わり一次面接者は131名に増えて、入社者も10名増え、19名が入社しました。これが、去年の数字です。VRアプリは今年の施策ですので、この数字は0次選考とは関係ありません。

エントリー減の理由は「スカウト型媒体の勃興」にある?

では、そもそも「なぜエントリー数が減少したのか」ということですが、この現象には、いわゆる「スカウト型媒体」の勃興と、「ナビサイト」の弱体化が関係しているのではないかと考えています。これは実際にデータを見て分析したのではなく、肌感として感じていることですね。それもあり、リファラル的な動きを増やすなど、事前に手を打っておいたことで、18年卒はエントリー数が減少しながらも、質の高い候補者を確保できました。

現在、採用媒体はどんどん細分化されています。我々のような募集企業側もそうですし、学生さんも「どのツールを使えばいいの」と悩んでしまう状況になってきている。そうした流れの中で、「どうやって採用活動・就職活動をすればいいのか分からない」という学生・企業が増えている。同時に「あの子、ナビサイトとか全然使っていないのに、良い会社就職したよね」といった事例も、これからは増えていくんじゃないだろうかと、我々は思っているんですね。

アプリ開発企業・フェンリルが持っていた3つの採用課題

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我々が採用の課題として持っていたものは、こちらの3つです。

1つ目は、採用費の負担増です。アプリ開発の会社ですので、技術者の採用が非常に大変な状況です。競合企業が山ほどあって、「年収1000万出します」といった求人がある中で戦わないといけない。

2つ目は我々を知ってもらう機会の不足です。やはり学生さんにとって、「名前を知っている会社」というのは、選考を受ける動機になると思っています。我々の主要事業はアプリの共同開発という受託事業なので、なかなか表に自分たちの名前が出ないという課題がありました。

3番目が「求める人材確保に苦戦」という課題です。これまで、我々はナビサイトさんにエントリーの集客を頼っていたのですが、自分たちの情報が表にそれほど出ていないということもあり、簡単に言えば、「応募してくださる学生さんが、最終的に採用したい人物像とズレている」という課題がありました。

では、我々が求めているのはどういう人かというと、いわゆる「職人気質」。会社として「派手なもの」ではなく「手に馴染むもの」をつくりたいという考えがあります。「使い続けてもらう」ということこそが、アプリの存在意義である、ということですね。

そのような気質の会社ですので、「文章や動画で目指すものを表現することは難しく、我々の目指す世界観を体験してもらわないと、なかなか伝わらないのでは」という考えが今まではありました。

0次選考を実施した3つの理由

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「0次選考」を実施した1つ目の理由としては「採用方法の再検討」が挙げられます。お金を使うなら、より効果的に使いましょうということですね。

2番目の理由は「新しい技術を使った、自社のブランディング」です。新しい技術を使ったアプリを製作し、技術をアピールする。それは「新卒者向け」というだけではなくて、クライアントさん向けにもアピールする狙いがあります。「我々はこういったものが作れます」と分かりやすく伝えるという意図です。

3番目が「コンテンツを通じて、理念や価値観を訴求する」ということです。なぜVRなのか、ということなんですけれども、我々はVRが流行りだからやったというわけではありません。「職人」であったり「匠」であったり、そういった世界観を、押し付けがましくなく体験できる、知ってもらう方法は何だろうと考えた先にVRがあった、というお話です。

VRというものは、そういった「価値観を提供できる手段」なのではないかという考えから、エンジニアもデザイナーも全員社内のメンバーで、このアプリを作らせていただきました。

VR空間の中でフェンリルの理念に触れる「0次選考」

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では、実際に何をやったか、ということを簡単にご説明させていただきます。「0次選考」は、デザイン性に富んだ、VR空間の中で、フェンリルの理念に触れてもらいながらゲームをプレイいただくアプリです。

コンテンツの中には、たとえば「1ピクセルにこだわる」といった、フェンリルの理念に関わる文言を入れたり、「Software meets Design」といった文言を書いたり、そういったことを体験していくなかで、「フェンリルってこういうものがつくれるんだ」「こういう考え方でアプリを作る会社なんだ」ということを、実際に体験して、理解いただくということを行いました。

アプリ「0次選考」のプロモーション動画

エントリーした学生に、自社制作のゴーグルを届ける

簡単にゲームフローを紹介しますと、まずゴーグルをつけます。ちなみにゴーグルも自社でつくりました。こんなかんじです。

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マイナビでエントリーすると、会社資料ということで一緒にゴーグルを送るんですね。そのため、送りやすいようにスリーブ型、畳めるようになっていまして、コストを抑えつつ、非常に簡易的ながらお洒落に仕上げました。

そのあとアプリを実際にプレイしていただくのですが、アプリ内だけではゲームは完結させず、最後、WEBサイトを経由して完結する、という仕掛けを作りました。

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アプリをクリアすると、最終的にWEB上で「0次選考の通過証明書」がダウンロードできる形になっています。これを、説明会に持ってきて提出することで、その人が、選考でもしかすると有利になるかもしれませんよ、ということで、やらせていただいております。

実際にアプリは無料でダウンロードできますので、ぜひ、お試しいただければと思います。

アプリによって前年度より多くのエントリーを獲得

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結果どうなったか、ということなのですが、前年比で、一括エントリーが216%、個別エントリーで114%、セミナー予約111%ということで、前年度に比べて、エントリーが増えました。

実は、前年度までナビサイトでプレミアムプランに入り、エントリー数を増やす施策を行っていたのですが、今年はそれもやめました。それなのに、前年度より効果があったということで、これは一定の成果があったんじゃないか、というふうに思っています。

これから面接に入り、採用も継続していくので、その中で「プレイしましたよ~」という方もこれから出てくるのかなと思います。採用は大多数の企業が一斉に取り組んでいるものだからこそ、その中で自社の魅力は何かもう一度立ち返る機会にしてみてはいかがでしょうか。

【編集部より】
採用難に対応するため、自社でユニークな採用を企画する企業が増えています。「ユニーク採用」実践企業に、成功の秘訣を聞いたインタビューは以下からご覧いただけます。

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