企画

中小企業の採用戦略


事例で考える「ユニーク採用」成功の秘訣

2018.03.30

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採用市場は売り手優位の状況が続いている。多くの中小企業が人材採用に苦戦する中、自社に合った人材を採用するため、ユニークな採用活動を展開する企業が増えている。古くは日本電産の「大声試験」や「早飯試験」、近年は面白法人カヤックの「エイプリルフール採用」や東急エージェンシーの「顔採用」など、採用活動そのものをブランド化し、他社と差別化を図る取り組みだ。

@人事では、これまでもさまざまな「ユニーク採用」の事例を紹介してきた。これらの企業は、その後、どのような成果を収めたのだろうか。昨年末から「ユニーク採用」に挑戦し、約半年にわたり試行錯誤してきた2社にインタビューを行い、採用成功の秘訣を探った。

不採用者を積極採用 サーチフィールド「不採用採用」

不採用採用

2017年10月、株式会社サーチフィールドは、不採用経験者を積極的に採用する「不採用採用」を始めた。不採用をきっかけに自身の将来を見つめ直し、社会に挑戦する学生を歓迎するもので、過去に失敗を乗り越えた経験があれば応募できる。就職活動の先行きに不安を覚える学生を勇気づけ、学生の将来を考えるきっかけを作ることがコンセプトだ。

▼記事はこちら
「お祈り」からの再スタート! サーチフィールドが「不採用採用」を開始

面談を通じ、学生の志望度合いが高まるのを実感

「不採用採用」開始から半年。サーチフィールドは78人の応募者から、2名の内定社を獲得した。同社取締役の長谷川洵氏は、選考を始めた当初、応募者の志望度合いが高くないように感じていたという。

「初回面接時の志望度合いは、例年よりも低い印象でした。ただ『不採用採用』のコンセプトに沿って、候補者の皆様の志向を確認する面談をおこなうことで、徐々に志望度合いが例年よりも高まっていくのを感じました。その半面、一つ一つの面談に時間がかかってしまい、お会いできる人数を想定よりも増やせなかったことが反省点です」(長谷川氏)

候補者の中には、「不採用採用」をきっかけに同社を知り、サービスのファンになった人もいたという。応募者のモチベーションに不安を持ちつつも、丁寧に選考を進めることで企業の魅力を広めた好事例と言えるだろう。

非大卒を積極採用 モバイルファクトリー「第0新卒採用」

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2017年11月、株式会社モバイルファクトリーは、非大卒者を積極的に採用する「第0新卒採用」を開始した。同社は以前から、学歴、国籍、年齢を一切問わず、多様性のある人材を採用することをポリシーとしていた。そこで、大卒でなくてもポテンシャルの高い人材を確保したいという方針を明確化し、非大卒を積極的に採用する「第0新卒」の展開を決めた。

▼記事はこちら
非大卒の優秀人材獲得へ。モバイルファクトリーの「第0新卒」採用とは?

「人生を変えたい」圧倒的な熱量を持った人材との出会い

「第0新卒採用」の開始から約半年。モバイルファクトリーで採用活動を担当する関岡央真氏によると、応募者は就職活動に前のめりな人材が明らかに多いという。

「自己PRで『人生を変えるために来た』と言う方が何人もいて、就職活動に対する熱量に圧倒されました。多くの方がすでに就業経験を持っているので、社会人としてのマナーや経験値が備わっていました。話し方やスタンスが、20代前半と思えないくらいしっかりしていて驚きました」(関岡氏)

同社の参加したイベントでは、参加者から質問の手が上がらないことはないという。グループワークでフィードバックをした際には、候補者がすぐに指摘したところを修正して持ってくるのだ。

「『無知の知』じゃないですが、彼らは無知を自覚している。すぐに気になった言葉は調べるし、恥ずかしがらず聞いて来る。この点は非常に感心させられました」(関岡氏)

「多様性のある人材を受け入れる」というメッセージを「第0新卒採用」というコンセプトに集約したことで、モバイルファクトリーは多くの優れた人材へのアプローチを果たした。同社の戦略は大きな成功を収めたと言えるだろう。

成果につながる「ユニーク採用」の特徴とは

「ユニーク採用」は中小企業でも話題を集めやすい反面、母集団を必要以上に膨らませ、採用コストを増やしてしまう恐れもある。こうしたリスクを避けるには、ターゲットに合わせた採用戦略の設計が必要だ。具体的には2つのポイントが挙げられる。

1つ目は、求める人物像を明確にすること。「不採用採用」と「第0新卒採用」に共通する特徴は、企画が「求める人物像」を起点に設計されていることだ。失敗から学ぶことのできる人材を採用するために、不採用経験者にアプローチする。キャリアに関わらず熱意のある人材を採用するために、非大卒者を歓迎する。こうした人物像を明確にしたうえで、企画を作り込むことが重要だ。

2つ目は、集客、選考、内定までの過程を通じて、ターゲットの視点に立った採用フローを設計すること。サーチフィールドの「不採用採用」では、コンセプトに沿って面談を行ったことで、候補者の志望度を高めることに成功した。「不採用者を歓迎する」とメッセージを出すだけでは、こうした成果は得られなかっただろう。選考フローを通じてコンセプトを徹底したことが、学生の心を動かしたのだ。

求める人物像を明確にし、ターゲット視点に立った採用フローを設計する。これらを丁寧に実行することが、通常の採用活動では巡り会えない、新たな人材との出会いをもたらすはずだ。

【@人事編集部】

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