コラム

@人事 ドイツ支部通信


学生は「学歴フィルター」を見抜いている。ドイツに学ぶSNS時代の採用法。

2018.03.26

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3月に企業へのエントリーが解禁になり、現在採用活動に汗を流している人も多いだろう。

そんななか、「学歴フィルター」が再び注目を集めている。学歴を採用基準のひとつにするのであれば、その方法を考えなおした方がいいかもしれない。

フリーライターの雨宮紫苑さん雨宮 紫苑(あまみや・しおん)

ドイツ在住、1991年生まれのフリーライター。大学在学中にドイツ留学を経験し、大学卒業後、再びドイツに渡る。ブログ『雨宮の迷走ニュース』を運営しながら、東洋経済オンラインやハフィントンポストなどに寄稿。

目次
  1. 公然と存在する学歴フィルター
  2. 学力を採用基準にすることは「悪」なのか?
  3. 学歴フィルター公開・撤廃は非現実的
  4. 採用基準のひとつに「学力」を加える
  5. 就職活動の健全化のためにできること

公然と存在する学歴フィルター

先日、とあるツイートがわたしのタイムラインに流れてきた。

ツイート主によると、Fラン大学+女性のプロフィールで企業の説明会に申し込むと「満席」と表示されたのに、同じ大学の男性が申し込むと「空席」があったとのこと。さらに、女性でも名の知れた私立大学の学生なら申し込みができたらしい。もちろんその企業も、ほかの企業と同じように、表向きは「だれでも歓迎」である。

男女差別とともに「学歴フィルター」の存在を指摘したツイートは、多くの人に拡散された。

わたしが立教大学に在学していたとき(2010年~2014年)も、学歴フィルターの話は何度も耳にした。いわく、「プロフィールを早慶上智にすると説明会に空席ができる」「MARCHと旧帝大で面接の階が分かれていた」などなど……。

学歴を採用基準にすること自体は、悪くはない。年齢制限や高卒・大卒で区別するのと同じように、学歴制限を設けるのは企業の自由だ。

だが学歴フィルターは、学生にとっては「明確な基準がわからない」、企業にとっては「存在しているけど公開はしない」という、不透明な存在になってしまっている。

では、「学歴フィルター」を使うのなら、どういう方法にするのがいいのだろうか。

filter

学力を採用基準にすることは「悪」なのか?

わたしが住んでいるドイツには、日本のような「学歴フィルター」はない。そもそも「偏差値」という考えがないし、就活のシステム自体がちがうのだから当然だ。だが、学歴は就活において重要なポイントになることに変わりはない。

たとえばドイツの求人情報では、このように書かれている。

  • 大学で学位を取得している
  • 経済・経営、それに準じる専攻で優れた成績を修めている(平均して成績○○以上)
  • 経済学部でもとくに××を学んだものは優遇
  • インターンシップ経験者は優遇
  • ドイツ語は母国語レベル、英語はビジネスレベル以上
  • オフィスソフトを一通り使える
  • やる気がありチームプレーを大事にする性格

などだ。

注目したいのは、成績に関する基準である。ドイツには偏差値という考えはないが、大学でどれだけ学んだかを測るために、一部企業は成績を重視する。大学入学時点の学力を重視する日本と、考え方自体は同じだ。

では大卒者限定、成績でターゲットを絞る企業は批判されるのだろうか。いや、そんなことはない。

採用基準は企業の自由だし、その条件を満たせない学生は大人しくちがう企業に目を向け、企業は条件を満たさない学生を面接という土俵にあげない。それだけの話である。

学歴フィルター公開・撤廃は非現実的

だが、それを日本でやったらどうだろう。「この偏差値以上の大学に在籍の方」なんて採用基準を設けたら、一瞬で炎上するのではないだろうか。

「経済的な理由で大学にいけない人を差別するのか」
「大学在学中に一生懸命勉強した人だっている」
「偏差値で仕事ができるかどうかはわからない」

など、少し考えただけでもどんな批判がくるかが想像できる。

では学歴フィルターをなくせばいいのかというと、そうもいかないだろう。

日本は大手就活サイトが幅を利かせているうえ、一定期間に内定を勝ち取らなくてはいけないので、学生は多くの企業に応募する。「2018年卒マイナビ学生就活モニター調査」によると、去年の就活生は3月~7月の期間中、平均40社にエントリーしたそうだ。

そうすれば当然、企業には膨大なエントリーシートが届くことになる。大量のエントリーをさばくために「学歴」というわかりやすい要素でふるいをかけることは、ある意味当然の流れだ。

顔選考や性別による差別、サークルに参加していたかどうかなんて基準で判断されるよりも、学歴フィルターのほうがよっぽど納得がいく。

だが、「学歴フィルターが存在しているのに表面上は『だれでも歓迎』」というのは、やはり健全とはいえない。

しかもこのご時勢だと、「学歴フィルターを設けている」とSNSで暴露され、気づいたら炎上している……なんて可能性もある。

twitter

採用基準のひとつに「学力」を加える

わたし個人としては「学歴フィルターがあるのなら潔く公表すればいい」と思うのだが、実際公表できるかというと、むずかしいだろう。

公表することによるイメージダウンの可能性もあるし、「学歴だけで決めるわけではない」という企業もあるはずだ。

では、学歴フィルター健全化のためにできることはなんだろう。大切なのは、「学力は採用基準の一部である」とオープンにすることではないだろうか。

たとえば、「主体性がある」「リーダーシップがある」といった優遇項目と同じように、「知的好奇心が強く学業で優秀な成績を修めた者」と書くのはどうだろう。

その一文で、企業は学生に「勉強してきた人を評価します」と伝えることができる。学生も、面接で「こういうことに興味があってこういう勉強をしました」なんてアピールをしやすくなる。

ほかにも、テストで学力を測るのもひとつの手段だ。オンラインテストでもいいし、手っ取り早く、その年のセンター試験の問題を一部解いてもらってもいい。

方法はどうであれ、「勉強がどれだけできるかも採用基準になる」ということが学生に伝わるようになれば、多少健全な就職活動になるのではないだろうか。そう明記している企業なら、学歴フィルターがあったって納得してもらえるだろう。

就職活動の健全化のためにできること

最近では、企業側から学生をスカウトするダイレクトリクルーティングサービスも増えている。

「学歴はある程度チェックするがそれを公にするのは好ましくない」というのであれば、そういったサービスを使って、自分からターゲットの学生を絞ってしまうのもひとつの手段だ。

少なくとも、「みなさんからのエントリーをお待ちしております」と言っておきながら学歴でふるいわけするよりは、よっぽどフェアである。

学歴を採用基準にするかどうかは企業の自由ではあるものの、学歴フィルターがあるのなら、潔く「学力が高い人優遇」と書くとか、テストで学力チェックするとか、自分からスカウトするとか、透明化していってほしいと思う。

学歴フィルターの基準までオープンにする必要はなくとも、少なくとも学力をチェックすることを伝えることで、就活の健全化につながるはずだ。

執筆者紹介

雨宮紫苑(フリーライター) ドイツ在住、1991年生まれのフリーライター。大学在学中にドイツ留学を経験し、大学卒業後、再びドイツに渡る。ブログ『雨宮の迷走ニュース』を運営しながら、東洋経済オンラインやハフィントンポストなどに寄稿。著書に『日本人とドイツ人 比べてみたらどっちもどっち』(新潮新書)がある。

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