ウォンテッドリー主催「人事担当者のインターンシップ」レポート
Wantedlyに学ぶ、長期インターンシップを成功させる方法
2018.03.07

ビジネスSNS『Wantedly』を通じて新しい働き方を提案するウォンテッドリー株式会社は、2018年2月15日に「人事担当者のインターンシップ」を開催した。
現在、一般的に新卒の採用コストは1人あたり60万円といわれており、優秀な学生の採用は年々難しくなっている。そこで今回は、以前からインターンを積極的に導入し、高学歴学生の新卒採用にも成功しているウォンテッドリー株式会社の事例から“インターン戦力化の秘訣”をレポートする。インターン導入や新卒採用に悩む人事必見だ。
採用ゼロから高学歴新卒獲得につなげた4つのメソッド
長期インターンを推奨しているウォンテッドリー株式会社でも、1年前まではインターン体制が整っていなかった。2016年の9月から2017年2月まで常時4~5名のインターン生を抱えていたものの、採用数はゼロ。短期で辞めてしまうインターン生も多かったが、2017年3月から長期インターン経由で京大・上智大卒の新卒2名の採用に成功した。改善点は以下の4つだ。
【1】採用基準は「コミット力」のみ
従来は「とにかく優秀な学生が欲しい」と考え、学歴や経験など採用基準を多くも受けていた。しかし、実際には学生間で経験・スキルの差はあまりないため、「コミット力(時間×やる気)」を判断軸に設定。
経験を積んでステップアップし、新しい仕事に取り組んでもらうために必要な「週3日あるいは週24時間以上の勤務」をインターン採用のボーダーラインにし、単位をほぼ取り終えている、あるいは休学中の学生を中心に採用し、やる気を重視した。コミット力を面談時に確認しておくと、入社後の退職の防止策にもなる。
【2】育成過程ではリーダーも関わる
「いち早く仕事を覚えてほしい」という思いが先行すると近視眼的な取り組み方になり、「なぜこの業務をやるのか」が伝わらず、インターン生の意欲を削いでしまう。
そこでインターンの具体的なスケジュールを決め、初日はオリエンテーションでインターンの意味や会社のミッションの理解を促し、2週間は会社側と学生側のテスト期間として電話でクライアントフォローを行い、2週間~1ヵ月は実践的なスキルを身につけるロープレ期に移行することとした。
また、初日のオリエンテーションは必ずリーダーが行うべきだ。現場のメンバーだけが説明すると内容が業務中心の話になりがちで、インターン生にビジョンまで共有できない可能性が高い。育成過程でリーダーが直接話をするだけで、学生のコミット力が高まる。
【3】フィードバックは週1の短期サイクルで
個別面談は月1回に留まっていたが、現在は週1回実施している。面談では業務を整理して「何に今注力すべきか」を明確にする。これによりインターン生の自発性を促し、モチベーションの確認ができる。さらに客観的評価を伝え、業務のフィードバックを行う。
このようにPDCAサイクルのPとCを社員が「伴走」することでより早く改善でき、学生の成長スピードが上がるのだ。
【4】重要度が高く、緊急度が低い仕事を任せる
インターン生に任せる仕事は、重要度が高いが緊急度は低い仕事が理想的だ。社員の手が回らない部分ながら成長できる領域なので、戦力化につながる。
とあるインターン生は約3ヵ月新規営業の基礎を学び、商談でクライアントの契約を獲得。ノウハウ共有の資料作成を行い、インターン育成を担当して組織改善にもつながった。金融機関とのアライアンス営業にも社員とともに取り組んでいる。
少人数部署でインターン生を育成するコツ
1年3ヵ月で200万ユーザーに到達した名刺管理アプリ「Wantedly People」の立ち上げ当初は、ビジネスサイドを担当する社員がわずか1名だった。インターン生3~4名を活用することで、立ち上げから半年間を乗り切ったという。その経験に基づき、忙しく余裕がない組織でのインターン生活用術を共有する。
【1】成長を実感できるタスクを振り分ける
インターン生に雑務ばかり任せていると、優秀な学生ほど離脱してしまう。新卒採用に繋げたいのであれば、「インターンに参加してよかった」と成長実感を得られる業務も任せるべきだ。
成長実感を得やすいのは、工夫の余地があり、社員にも感謝される業務。そこで、インターン生には、問い合わせ対応やヘルプ・マニュアル・広告運用レポートの作成、ユーザーイベントの実施などを依頼した。さらに、タスク管理表やミス防止の運用・作業マニュアルなどもインターン生が作成し、業務の品質維持を心掛けた。
インターン生でも社員の指示があれば遂行できる業務は多く、上流の仕事以外は積極的に振り分けた方がいい。また、優先度が高い仕事をインターン生に任せると、責任感も芽生える。結果的に、2~3名のインターン生がほとんどの仕事を任せられるまでに成長したという。
簡単な仕事から責任感のある仕事へとステップアップする際のポイントは“愛のある無茶ぶり”だ。「期待をしているから任せたい」「失敗してもフォローする」というように、ポジティブなコミュニケーションをしたうえで振り分ければ、インターン生も意欲的に取り組める。
【2】成長意欲のあるインターン生を採用する4ステップ
こうした多様な業務を依頼するには、成長意欲のある学生をインターン採用する必要がある。そこで、能力や経験よりも姿勢を重視し、以下のフローで採用活動を行った。
1、インターン生面談
インターン生同士が一緒に働きたいかを判断する。インターン生同士の相性が合わないと、社員にも調整コストがかかる。
2、社員面談
成長する覚悟を確認し、夢物語を消す。成果を出すための日々のひとつひとつの仕事は地味であることを強調し、入社後の業務とのギャップを無くし、退職リスクを軽減する。
3、課題提出
所要時間3~4時間のボリュームで学生が思いつく範囲で、ちょっと工夫ができる問題にする。 チェックポイントは、構造的にまとめてあるか、外部のデータを調べているか、期限内に自分で工夫して完成させられるか。
4、2週間の試用期間
コミット力とビジネス基礎スキルと積極性を測るため、CSの問い合わせ対応を依頼。 一見地味ながら重要なタスクに、意義を感じて取り組めるかをチェックする。
【3】インターン受け入れ社員をフォローする
インターン生に任せる業務は新卒に任せる業務と似ているが、インターン生は業務の質が低かったり、業務が完了しても担当者のレビューが間に合わない可能性がある。インターン受け入れ担当者が一人で抱え込むのではなく、社員全体で育てる仕組みを作ることも重要だ。
インターン受け入れ担当者のモチベーションは大きく2つあり、ひとつは新卒採用につなげられるという会社全体としてのメリットだ。もうひとつはインターン生活用による仕事の効率化。まずはタスクの棚卸しをし、インターン生の活用プランを立てるのが第一ステップだ。
インターン生の育成というタスクではなく、自分を楽にするためのミッションとして取り組めるかどうかが成否を分けるポイントだろう。人事担当者はこうした意識の醸成にも注力すべきだ。
執筆者紹介

萩原かおり(はぎわら・かおり) フリーランスのライター・編集者。美容と心理が専門で、婚活パーティーの取材人数は200人を超える。三度の飯と執筆が同じくらい好き。求人・化粧品・社史制作を経て独立。現在は執筆業を中心に、取材記事から広告・LP・メルマガ作成まで幅広く活動中。休日はエステとジムに通い詰める美容オタク。 https://note.mu/hagitaro1010
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