キャリアセンターに聞いてみました
【中編】人事担当者必見! 「目に留まる求人票」5つのポイントとは
2015.10.30
今回の特集企画では、匿名を条件に取材に応じた大学もある。学生を社会に送り出す責任があるからこそ発せられた率直な意見や要望を聞くことができた。人事担当者にとっては、少々耳の痛くなる話もあるが、キャリアセンターとの良好な関係作りやキッカケをつくる上での注意点として聞いていただきたい。
こんな企業、人事担当者は嫌だ
キャリアセンターの担当者は、大学を訪れる人事担当者を「その会社の鏡」として、一挙手一投足をじっくり見ている。誠意を持って接することと、事前の準備を怠らない必要があるようだ。
・企業についての特徴や制度の詳細など、何を質問しても答えが返ってこない。まったくやる気も見えない。正直、「なぜこの人が人事担当者をやっているのか」と不思議に思う企業担当者が毎年必ずいます。「(自分たちの仕事を)名刺と求人票を配るだけの係」とでも、思っているんでしょうね(同様の声多数)。
・訪問してくれる企業には、「なぜ本校の学生が欲しいのか」を必ず聞きます。全く答えられない担当者や、完全に的外れな人事担当者はやはりどうかと思う。企業が学生に対して志望理由を聞くように、そこはわずかながらでも調べてくる姿勢が欲しい。
・当校の卒業生は、ほとんどが理系専門職として一部上場企業に就職している。失礼ながら知名度も実績も何もない企業からしつこく紹介依頼が来ても、「身の程を知ってほしい」と思う。
・送られてくる求人票の内容が薄っぺらいと学生はもちろん見ないし、私たちもさらりとしか見ません。求人票には企業姿勢のすべてが表れていると思う。
・3月下旬から4月上旬は、卒業式や入学式で何かとバタバタする時期。できればこの時期は避けて年明け早々にでも来てくれる配慮があるとありがたい。
「目に留まる求人票」5つのポイント!
今回の取材で具体的な要望が多かったのが「求人票」の記載情報についてだ。大学ごとのテンプレートに記入する形式や、企業ごとの自由記入形式など様々だが、形式によらず共通して「書いて欲しい」というポイントがあったので以下にまとめた。
その1:強みを持つ事業内容
「漠然とあれもこれもやっています」では分かりにくい。事業が多岐にわたり一覧を書き出す場合は、必ずどこに強みがあるのか、業界シェアなど何に強いか別途アピールを。
その2:モデル年収
初任給ではほとんどのケースで大差ない。30歳、40歳など、各年代でのモデルケースがあると学生は必ずチェックしている。
その3:離職率
30%を超えると公表しづらいだろうが、15%を切るなら可能な限り内訳も合わせて公表した方が良い。そして30%を超えるようなら、採用手法、もしくは社内体制に大きな問題があると認識すべし。
その4:卒業生の有無
ここは学生以上にキャリアセンターの担当者が気にするポイント。大学からの直接紹介を増やしたいなら、求人票に記載するか、もしくは口頭でも伝える方が良い。
その5:エントリー方法
「ナビサイトからワンクリックでエントリー」の経験しかない学生には、求人票を見て直接企業に応募するのは、人事担当者が思う以上に高いハードルである。応募方法はできるだけシンプルに分かりやすく示そう。可能であれば、いきなり履歴書の送付を求めるのではなく、会社説明会の参加や、OBOG訪問のような若手先輩社員との個別面談を設定するなど、最初のハードルはできるだけ低くしよう。
おまけ・オーナー企業の注意点
中小企業の場合、明らかに創業者一族のみが出世していそうな企業がある。会長と社長の名前が一緒だったり、会社の名前と同じ苗字を持つ取締役が複数いたり。MARCH以上の大学で、成長意欲の高い学生には「そういう企業では努力しても出世ができなさそう」と敬遠される。もし、関係なく出世できる環境があれば、採用ホームページなり、求人票なりに「将来の幹部候補」と記載しておいた方が良い(キャリアセンター担当者)。
- 【前編】中堅・中小企業は大学キャリアセンターとの結びつきを強化せよ!
- 【中編】対策編①「目に留まる求人票」のポイント
- 【後編】対策編②関係性持続のための「メール」
執筆者紹介
玉寄麻衣(たまよせ・まい) 1979年生まれ。立命館大学政策科学部卒業。外資系大手人材派遣・人材紹介会社で、営業として主に中小企業の人材採用をサポート。その後フリーランスのライターとなり、人材採用、人材育成、大学教育、広報・PR、企業経営等に関する取材・執筆を行う。
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