社員に選ばれる会社の人事制度・人材開発
福利厚生制度のメリットとは? 導入・運用方法を解説
2018.02.14

さまざまな福利厚生制度を導入している会社において、採用情報ページで福利厚生の内容を紹介することは、会社の魅力を対外的に宣伝することにもつながります。今回は、福利厚生制度にはどんなものがあるのかをご紹介し、導入方法だけではなく運用方法についても取り上げたいと思います
福利厚生制度の会計上のメリット
経理上、福利厚生の費用は企業が社員の仕事と生活の両立支援への取り組みにかかる経費として計上することができます。ただし、こういった福利厚生における具体的な内容は、「全社員(役員も含む)が利用することができ、かつ、社会通念上一般的な利用料金の範囲内である」必要があります。
福利厚生制度は、全員が分け隔てなく利用可能であれば、結果として特定の社員しか利用していなくても問題はありません。例えば、会社の所在地から2駅以内かつ5キロ以内に引っ越す場合は「引越し代金を10万円まで実費支給」という制度があったとします。全社員を対象にしているにもかかわらず利用する社員が数人しかいなかった……というのは、「結果論」にすぎないので、福利厚生制度として認められるものといえます。
福利厚生を導入する場合の2つの方法
また、福利制度の導入方法としては、大きく2つのパターンがあります。一つは個々に必要かつ独自の制度を導入する方法、もう一つは、福利厚生のアウトソーシングサービスを使用する方法です。
1.会社独自に制度を導入する
スタートアップ企業など新しく設立された会社を中心に、会社独自のさまざまな福利厚生制度が展開されています。例えば、以下のようなものがあげられます。
- 飲み物やランチが無料
- 卓球、ビリヤードなどが自由に使える
- シャッフルランチ(異なるチームメンバーとのランチ代を会社から補助)
- 誕生日有給
- ピアボーナス(社員が成果給を送りあう)
- 書籍購入代補助
こういった制度は導入・運用の期間/費用もそれなりに発生するものの、各社ごとに趣向をこらしたものが多いです。社員を大切に扱おうとする会社の姿勢を示すためには、一定の効果があると言えます。
2.福利厚生のアウトソーシングサービスを導入する
その一方、個別に制度を設けるのでは無く、ベネフィット・ワン社、リロクラブ社などが提供している福利厚生アウトソーシングを導入している会社も多いと思います。これは社員1名あたりの単価が決まっており、社員数に応じた費用を月次(あるいは年次)で支払うことによって、自己啓発のためのスクール費用の割引や、ホテルや旅行ツアー代金の割引、ベビーシッターをはじめとした育児支援の提供など、さまざまなサービスを各自が申し込むことで受けられるものです。中規模以上の企業においては、こういったアウトソーシングサービスを導入しているところが多い傾向です。
社員にとっては、「自分が必要とするサービスを多くの選択肢から選ぶことができる」、会社にとっては「多くのサービスを自前で準備せずに、社員に福利厚生が提供できる」という双方にとってのメリットがあります。また、こういった会社に支払う費用は、上記の「福利厚生」の費用として説明がつきやすく、社員の人数に応じて費用が決定するため、概算費用が予測しやすいという経理上のメリットも存在します。
福利厚生は導入だけではなく、定期的な見直しも重要
これから福利厚生を充実させていきたい、あるいは既存のものを見直したいという場合には、以下の3つの軸をもとに考えてみるのが良いでしょう。
- 全員(≒多くの人)が使える
- いつでも使える
- コストに見合っている
ある会社で効果的な福利厚生制度が、自社でも同様に効果的とは限りませんし、また逆もしかりです。場合によっては、何人かの社員にヒアリングや、アンケートをとってみるのもよいかもしれません。
そして、こういった福利厚生制度において重要なのは「導入したら終わり」ではないということです。例えば、福利厚生アウトソーシングサービスを利用する場合、利用状況のレポートが管理者に送付される、あるいはWeb上で確認できるようになっています。定期的に利用状況などをモニタリングすることで、どういったものを社員が利用しているのかを掌握しておく必要があります。個別に制度を導入している場合は、利用頻度が少ないにも関らず、コストが高い制度については見直す必要も出てくるでしょう。
「制度の見直しをしやすい仕組み」を構築しておく
福利厚生制度に限らず人事制度でありがちなのが、「一度導入した後、その使用状況に関係なく惰性で制度が続いている」という状況です。多くの制度があるということは、それだけ運用にも手がかかることを意味しています。思い切って「止める」というのも立派な制度運用の一つでしょう。
一度スタートさせたものを無くすのは難しい、ということもあるかもしれません。そういった場合、制度導入のアナウンス時に「この制度は〇年後に、継続の要否も含め見直します」といった一文をいれておくと、その制度を廃止することに対する「壁」が低くなり「見直した結果、止めることにしました」と言いやすい環境ができます。
福利厚生制度は「何を大切にしたいか」を会社から伝えるメッセージになる
福利厚生制度は、社員の業務効率化を支援するということはもちろん、会社への愛着につながるものともいえます。また、福利厚生制度は「会社がどんな価値観や社員を大切にしたいか」という思いの具現化でもあるため、会社から社員に対するメッセージともなります。導入や廃止の際には、そういった側面にも気を配った上で判断をしていきましょう。
執筆者紹介

永見昌彦(ながみ・まさひこ) アルドーニ株式会社代表取締役。外資系コンサルティングファームなどで人事コンサルタントとして勤務した後、事業会社(ラグジュアリーブランド持株会社)で人事企画担当マネージャーとして人材開発・人事システム・人事企画を兼務。事業会社、コンサルティングファームの両面から人事に20年たずさわった経験を活かして、2016年にフリーランス人事プランナー・コンサルタントとして独立。2018年に法人化。現在、人事全般のプランニング・コンサルティング・実務にたずさわっている。
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