コラム

林修三先生のなるほど人事講座


人事担当者がぜひ取得しておきたい資格(対従業員編)

2018.02.09

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従業員をより良くサポートできる3つの資格

前回は対会社・経営陣という視点から、人事担当者ご自身の存在価値を高められる資格を3つピックアップしてご紹介いたしました。今回は対従業員という視点から、会社で働く一人一人をサポートしていくにあたって、そのクオリティを高めていくことにつながる資格をご紹介してまいります。

2級FP(ファイナンシャル・プランニング)技能士

従業員のキャリアを支援していくにあたって、金銭面に関わる話は避けては通れない壁になります。FP技能士はその金銭面について、個々人のライフプランニングと絡めてアドバイスや相談を行っていくための国家資格です。

FP技能士を取得するメリット

具体的には、社会保険や生保・損保、資産運用、税金、不動産、などの制度や内容についての知識が幅広く身につきますので、従業員の方々の個別のケースに合わせて適切なアドバイス(例えば年金制度や住宅ローン控除についてなど)を行えるようになり、業務以外のプライベート部分についてもサポートをしていけるようになります。

ちなみにFP技能士は1級~3級に分かれているのですが、3級は基礎の基礎というレベル、1級は問題が少々マニアックすぎて実務に活かせる度合いが逆に低くなる、という事情があり、人事担当者であれば2級を目標とするのが適当です。

試験の概要

試験は年3回、1月、5月、9月に行われます。試験科目は、

  • ライフプランニングと資金計画(=主に社会保険)
  • リスク管理(=主に生命保険・損害保険)
  • 金融資産運用
  • タックスプランニング
  • 不動産
  • 相続

の全6科目で、学科試験と実技試験で各々その6科目から出題されます。

実はこのFP技能士、国家資格でありながら、「金融財政事情研究会」「日本FP協会」という2つの団体がそれぞれ試験を実施しています。しかも、実技試験については各々独自の内容で実施されています。さらに金融財政事情研究会の試験では実技試験が4分野に分かれており、受験申込時に分野を選択することになっています。

このように試験制度が少々複雑になっているので、受験にあたってはよくよく内容を調べ、ご自身が合格しやすい団体を選んで申込をすることが肝要です。なお、どちらの団体で受験しても学科試験は同一の問題が出されます。また、得られる資格に優劣はありませんし、合格後の取り扱いにも差はありません。

【公式HP】
金融財政事情研究会オフィシャルサイト(http://www.kinzai.or.jp/
日本FP協会オフィシャルサイト(http://www.jafp.or.jp/

2級FP技能士の取得難易度

各々の団体で実技試験の内容が異なっているため一概には難易度を言いにくいのですが、大雑把に言って概ね4割程度の合格率ですので、国家試験としては比較的取得しやすいものだと言えるでしょう。

試験範囲は広いのですが、人事担当者であれば社会保険の知識も一定以上はお持ちだと思いますので、完全な初学者と比べれば有利な位置から学習を進められます。また、学習書籍も豊富に出版されていますので、独学で十分に対応していける難易度と言えます。

メンタルヘルス・マネジメント検定(Ⅱ種)

メンタルヘルス・マネジメント検定(Ⅱ種)は、主に管理職の方を対象にした、部門内や部下のメンタルヘルス対策を推進していくための知識や技法を習得できる検定です。

メンタルヘルス・マネジメント検定(Ⅱ種)を取得するメリット

本来、この資格は主に管理職の方を対象にしたものですが、企業内で多数の管理職の方にこの検定を受けさせるというのはあまり現実的な話ではありません。そこで、人事担当者がこの検定を受験し、必要な知識や技法を身に付けることで、管理職の方々の良きアドバイザーになることができたり、管理職研修での講師として活躍できる可能性があります。

試験の概要

試験は年2回、例年3月と11月に行われます。

出題内容はメンタルヘルスに関する基礎知識などの座学的なものに加え、職場環境等の評価および改善の方法や、労働者からの相談への対応、話の聴き方、情報提供および助言の方法等、具体的なノウハウレベルのものまで広範に渡ります。

なお、試験自体は全て選択式(マークシート)で、実技試験は行われません。

【公式HP】
メンタルヘルス・マネジメント検定試験(https://www.mental-health.ne.jp/

メンタルヘルス・マネジメント検定(Ⅱ種)の取得難易度

直近試験の合格率は51.1%と、難易度としては決して高いものではありません。

試験そのものは公式テキストに準拠して行われており、かつ選択式の問題のみで構成されていますので、公式テキストを繰り返し通読していくだけでも合格レベルに到達できるかと思います。ただし、試験内容の中にいわゆる「傾聴スキル」に関する理解が含まれてくるのですが、これは文字情報だけではなかなか腑に落ちにくいことがありますので、できれば普段の業務の中で実践して体得していくことが望ましいでしょう。

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接客心理検定

接客心理検定は、これまでご紹介してきた資格とは大きく毛色が異なる、社会心理学の知見をベースにした「接客業務技術」を身に付けるための検定です。

接客心理検定を取得するメリット

その性格上、人事関係職の方でこの検定を受験なさる方は正直まれだと思われます。しかしそれでも今回この検定をご紹介するのは、今後の人事担当者はご自身がサービス業であるという明確な自覚のもと、高い対人スキルを発揮しながら業務を行うべきだと筆者が強く考えているからです。また、そうでなければ早晩AIに取って変わられる有力候補となってしまいます。

接客コミュニケーションテクニックや交渉術などの、接客業で求められる知識・技術を人事担当者が吸収し発揮できるようになれば、従業員の人事部署への好感度も増すでしょうし、採用活動においても強力な武器になります。“人”を扱うスキルが高まれば、当然人事担当者としてのレベルアップに直結していくしょう。

なお、、検定試験は1級~3級まで分かれているのですが、本職の接客業を目指すわけではありませんので、3級を目標にして頂ければ十分です。

試験の概要

3級の試験は年3回(3、7、12月)に行われるのですが、特筆すべきは、在宅で試験を実施するという点です。申込をすると試験前日までに主催事務局から試験問題等が送付され、自宅で回答後、期日までに解答用紙を返送するという流れです。

ハッキリ言って、いくらでもズルをすることができるというシステムではありますが、人事担当者が不正をしてこの肩書だけを手に入れてもほぼ無意味かと思われますので、後ろ指を指されるようなことを行う方はいらっしゃらないものと考えています。

【公式HP】
接客心理検定(http://www.sekkyaku.org/

接客心理検定の取得難易度

3級試験の合格率は、主催者情報では約80%だそうです。とはいえ、前述の通りいくらでもズルができてしまうシステムですので、追い風参考記録といったところでしょうか。受験対策自体は、主催者HPにて紹介されている公式テキストを購入し、通読していけば十分です。

内容的には社会心理学の領域が多く含まれており、一つ一つの心理効果に関して、実務上での応用可能性を考えながら読み進めていくと、非常に深い理解をしていけるのではないかと思います。

資格・検定を有効活用し、独自のキャリアデザインを

今回は以上3つをご紹介しました。

人事業務というのは、少なくとも現時点では明確なキャリアパスが構築されていない職業ですので、ご紹介した資格・検定がみなさまお一人お一人独自のキャリアデザインに少しでもお役に立てば幸いです。

執筆者紹介

林修三(はやし・しゅうぞう)(株式会社ヒュームコンサルティング代表取締役) 1975年生まれ。仙台市在住。東北大学法学部を卒業後、大手自動車部品メーカーの経営企画職~IT企業の人事・採用職を経て現職。現在は東北地方の複数の大学でキャリア系科目講師として学生の就職指導に努めるほか、人事・採用コンサルタントとしても活動中。

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