「未来のイクボス研修」レポートvol.1
なぜ今、イクボスが必要? 日本企業が直面する少子高齢化に立ち向かうために
2018.02.19

「イクボス」という言葉、よく耳にするようになったのではないでしょうか。「イクボス」とは、従業員や部下の育児参加に理解のある、経営者や上司のこと。2017年には厚生労働省が「イクメン企業アワード2017」「イクボスアワード2017」を開催し、その考え方が社会に浸透しつつあります。
今回は、パーソルグループがNPO法人tadaima!、NPO法人Arrow Arrowと協業で開催した「未来のイクボス」研修について、講師の三木智有さんの講義の一部をご紹介します。上司の立場でない方々も、育児と仕事の両立について、1から学べる内容です。
講師:三木智有さん
NPO法人tadaima!代表理事。2006年、フリーランスのインテリアコーディネーターとして活動を開始。人にアプローチして住みやすい家を創るため、2011年にNPO法人tadaima!を設立。
「ただいま」と帰りたくなる家庭を実現するには男性が家庭をもっと楽しむ必要を感じ、 「関係(家事シェア)」と「環境(インテリア)」の両面からサービスを展開。10年後も「ただいま!」と帰りたくなる家庭にしよう!をスローガンに、家事シェアを広める活動を行っている。「花王社会起業塾イニシアティブ2011」選出。
「未来のイクボス」とは何なのか
三木さん:
みなさん、イクボスという言葉はお聞きになったことがあるかと思うのですけれども、今回はただのイクボスではなく「未来のイクボス」になるための研修です。
この研修は、「未来のイクボス」とは何かを知っていただき、両立のフロントランナーとして走る人材を増やすことが目的となっています。今回は、この研修のトライアルを体験していただきたいと思います。
まずテーマ①。「未来のイクボス」に求められていることはいったい何か。
イクボスという言葉が良く聞かれるようになりましたが「どうしてイクボスにならなきゃいけないの?」ということをですね、改めてさまざまな点から振り返ってみたいと思います。
今日いらっしゃる方はそんなふうには思ってらっしゃらないと思うんですが、パパ向けの講座などをやったりすると、「仕事と家庭の両立って結局女性の問題なんじゃないの?」といった考えを、特にご年配の方々は持ってらっしゃることがあります。
ということで、そういった誤解を解くために、まずはこんな社会背景から見ていきたいと思います。
労働力不足が加速する日本 2050年には人口の4割が老人に
みなさんご存じの通りですが、日本では「少子高齢化」が進んでいます。その中で、圧倒的に労働力人口が不足するという事態に、この国はこれから直面していきます。
具体的には、2025年には583万人ほど労働力人口が不足し、さらに2050年になると、日本人の4割が老人になってしまうだろうと言われているんですね。ちなみにイギリスやフランスだと、同じ時期でもだいたい20%くらいだろうと言われているので、これはかなり、シニアの方の人口が多くなる、割合が多くなってしまうということが言えます。
2050年はちょっと先だなーと思うかもしれないですが、2025年はわりとすぐですよね。もちろん、突然シニアの方が増えるわけではないので、今からそのような社会に向かって着実に一歩ずつ踏み出しているということです。
働き手が減り、育児と介護の両立を考える人が増える
その中で、これからどういうことが起こるかというと、まず、シンプルに働き手が減ります。そして、もうひとつの問題として、育児と介護の両立を考える人が増えてきます。
育児との両立ももちろんそうなんですけれども、高齢化が進むことによって、介護と仕事を両立させる、もしくは育児と介護と仕事を同時にこなす方が、一緒に働くメンバーはもちろん、もしかしたらみなさん自身も、そうした形で働くことになるかもしれないんですね。
そして、環境がこのように変わっていくことで「子育てや介護などの制約がある社員を生かせる組織」が選ばれる社会へと変わっていきます。基本的には、育児や介護との両立ということが、とても身近な問題になってくるんですね。
ということで、組織の問題としては「いかにして働き手を確保するか」ということが、もうすでに直面している大きな課題というふうに考えられるかなと思います。
現在の日本では、専業主婦家庭より共働きの家庭の方が多い
そして、これもわりとよく見る図かなと思うんですけれども、実はもう、日本でも共働き世帯が約6割になっているということで、専業主婦家庭よりも共働き家庭の方が多いという状況が訪れています。
そうするとどうなるかというと、共働きが当たり前になると、「残業ありきの働き方はもう限界」になるということが言えると思います。
たとえば、夫婦どちらかが子どもの面倒を見なくちゃいけないから、どっちかが働き方を調整しなくちゃいけないということは、もうすでに、身近な問題として出てきているのかなと思います。そして、共働きが当たり前になってくると、次のような会話が家庭の中で行われるようになります。
「なんで私だけが、働き方の調整をしなくちゃいけないの?」
「なんで私だけが、働き方の調整をしなくちゃいけないの?」といった不公平感の問題ですね。今、女性活躍ということで、社会的にも女性も働きやすい、両立しやすい環境をつくろう、ということが言われていますが、その大きな理由としては二つあるというふうに言われています。
1.「働きたい」という思い
ひとつは「働きたい」という女性側の自己実現や、社会参画への意欲が向上している、ということですね。
2.「働かざるをえない」という環境
それともう一つ、忘れてはいけないのが、「働かざるをえない」という家庭の事情ですね。
「女性の活躍」と言うと、みんな女性がキラキラ輝いて「働きたい!」と意欲が高いイメージを持たれるのですが、そういった輝いている方ばかりではなく、別に働きたいわけじゃないけれども、働かざるを得ない方もいらっしゃるということですね。
という中で、共働きはこれからますます増えていくはずです。となると、「私だけが調節しなきゃいけないの?」という言葉は、企業からも言われるし、男性であれば家庭からも言われる可能性があるのかなと思います。そして家庭内ではもうひとつ、問題が起こってきます。
「俺だって、子育てにほんとはもっと関わりたい」
実はですね、こんな調査結果があります。今の20代~30代の男性に聞いてみると、20代の約7割、30代の約6割が、育休の取得を希望しているんですね。
ただ、「うちのリーダーはそんなの認めてくれない」というような状況だと、家庭内の問題から、一気にチームの問題にもなってくる。そのため、男性が育休を取得できるようにしていかなくてはいけない、というお話は、これからもっともっと話題になっていくんだろうなと思います。
育児や介護との両立が当たり前になる中で「イクボス」が重要に
ここまでのお話を簡単にまとめます。
現代は、共働きが当たり前の社会になっています。その中で、育児や介護との両立をしながら働くのも、当たり前の社会になっていきます。そうすると、社会の変化を敏感に察知できるリーダーが、これからは組織のメンバーにも求められるということですね。
ということで、最初にあった「仕事と家庭の両立って結局女性の問題なんじゃないの?」という疑問に対しては、これからは、男女関係なくどんな人に対しても直面する可能性のある問題なんだよ、ということが、言えるのじゃないかと考えています。
そこで僕たちは、イクボスというだけではなく、これからのための未来のイクボスという存在が、すごく重要になってくるんじゃないかなと考えております。
【編集部より】
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