特集

社員研修を科学する~ビジネスを加速させる人材の育て方~


体験型・参加型のゲームスタイルでチームビルディング、コミュニケーションを活性化

2018.01.05

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企業研修といえば従来、参加者が席に座り講義を聴く“座学”が中心となっているが、「HEART QUAKE」はビジネスゲームを用いた体験型・参加型に特化した企業研修、セミナーを提供している。受講者同士が一つの目標に向かって進むチームビルディングや、社員間のコミュニケーションの活性化を図るプログラムは外資系企業、日本大手企業を中心に、新しいタイプの研修として導入されている。今の時代に求められる研修の在り方とトレンドについて、代表の千葉順氏に話を聞いた【取材:2017年10月27日】。

千葉順(ちば・じゅん)

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株式会社HEART QUAKE代表取締役。1982年生まれ。神奈川県川崎市出身。成蹊大学工学部(現・理工学部)卒業後、株式会社ワークアプリケーションズ入社。システムエンジニアとして会計システムの開発に従事するとともに、毎年4万人が応募する同社のインターシップの運営リーダーを歴任。2010年同社を退職後、株式会社HEART QUAKE設立。研修用ゲームの企画・開発や、講師を担当。

働き方の多様化も影響し、参加・体験型の研修が台頭

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「座学的な研修スタイルは、すでにやりつくされた感があります。そうした内容は、個々にeラーニングやMBAコースをとることで学習できるので、企業はその補助をするというスタンスになってきています。研修として行う場合は、一カ所に人を集めるわけですから、せっかくならみんなが集まったときにしかできないものをやろうというのが最近の傾向です」(千葉氏)
現代はリモートワークを始めとし、個々がバラバラに働くことが多い時代。そんななかで人を集めて行う研修の価値を考えると、参加型・体験型・ワークショップ型などで、コミュニケーションが図れるものということになる。

HEART QUAKEがプロデュースする研修は、ビジネスゲームというツールを提供し、参加者はコミュニケーションを図りながらゲームを楽しむというスタイル。ゲームは仕事を疑似体験するなど、学びを中心に設計されている。
「大のおとなが集まって、いきなり『コミュニケーションをとるように』と言われても、ぎこちなくて難しいものです。でも、ゲームに勝つためには協力しなければならないとなると、会話も自然に弾みます。ゲームがコミュニケーションをスムーズにとるきっかけとなり、学ぶことの楽しさを知るきっかけにもなるというわけです」
【写真:ゲーム型ビジネス研修の「営業研修」で使われるカード】

短時間で高い成果が得られるゲームを使った参加型研修

業務が多忙でかつ生産性が問われる現代では、丸1日かけるものや、何日も缶詰状態を強いる研修は、社員を長時間拘束するため実施が難しくなってきている。一方で、同社が提供する研修プログラムは長くても6時間くらい、短いものは1時間だ。トレンドとして研修時間が短縮化していることも背景にある。
そこで重要になるのが研修による効果だ。

「学習定着率を示すものに“ラーニングピラミッド”と言われるものがあります。これは複数の学習方法を学習定着率の高い順に並べ、ピラミッド状に表現したもの。これによると講義形式の学習は7段階のなかで最も低く、最も高いのが他者に教えること。その次に高いのが自ら体験すること、グループ討論といった順になっています。研修の成果というのは測りづらいものですが、聞いているだけでなく、ゲームを使った参加型の研修は、理論上も座学より、成果が高いといえます」

目的や参加人数で選ぶ多彩なビジネスゲーム

体を動かしながら実施するアクティビティ研修やゲームを取り入れた学習は、1956年にアメリカで開発され発展、普及してきたものだ。日本ではゲーム=遊びと思われがちで普及しなかったが、徐々に取り入れられるようになってきた。

同社で運用するゲームの種類は15種類ほど。研修の目的や参加人数に応じてゲームが選択される。最も需要が高いのは①簡単である、②短時間でできる、③大人数でもできる、という条件を満たしたもの。チームの合意形成を行い、一つの答えを導く「NASAゲーム」、パスタ、テープ、ひもを使って自立可能なタワーを作るチームビルディングゲームの「マシュマロチャレンジ」などはその一例だ。

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大手企業や信用金庫がリピート活用するゲームのひとつに、財務研修ゲーム「財務の虎」【写真】がある。これは千葉氏自身が企画・立案したもの。「財務会計は難しいと思っている人が非常に多い分野です。座学で聞いたら眠くなってしまう財務の基礎的なワードや知識、企業のなかで実際どのようにお金が回っているかなどをゲームで体験していただく内容になっています。ゲームの後に解説という形で会計の話をすると、さっきゲームでやったことは、そういう意味だったんだと、体感から学んでいただけるようになっています」

人事部が採用選考のグループワークや内定者研修に活用できる「ワークスタイルトランプ」もユニークかつ実用的なゲームだ。トランプには「社長が魅力的な会社」「上場している会社」「社会に貢献すること」など“働き方”に関するキーワードが書かれている。
たとえば、受講者が52枚のトランプから最も大事だと思う10枚を選ぶ。どのカードを選んだのかによって、「大企業的かつ生活重視」「ベンチャー的かつ仕事重視」などの傾向がわかり、自社とのマッチ度が把握できるようになっている。

地方や中小企業向け研修キットレンタル

>同社が実施するビジネスゲーム研修は、講師を派遣するスタイルと研修キットレンタルのスタイルがある。講師派遣の場合は、講師が必要な備品を持参。ゲーム後にはゲーム中に起こったことを振り返る時間を設けている。
「参加者には何がよかったのか、よくなかったのか。もう1回ゲームをやるとするとどうするかなどを話し合ってもらいます。当然のことながら現実とゲームは異なります。ゲームだからできたこと、ゲームでもできなかったことを振り返り、ゲームと現実を橋渡しするような時間をとっています」
一方で、研修キットレンタルを活用すれば、講師は派遣されないものの、社内講師による研修がローコストで実施できる。

ゲーム研修を企画する目的とタイミング

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同社が提供するようなゲーム研修はどのようなタイミングで実施するのが良いのか。
「研修を企画するとき、社内で部門と部門の間に壁がある、組織のコミュニケーションが活性化されていない、座学の研修の評判が悪い、といった状況が見受けられる場合は、ゲーム研修の導入が特におすすめです。長期間にわたって実施される新入社員研修では、ゲーム研修をアクセント的に実施するのも効果的です」

近年では社員が集まる表彰式に加え、最近復活傾向にある社員旅行、忘年会などでもイベントを盛り上げる目的でゲームが取り入れられている。そんな時にもゲーム研修が有効的だという。
「社員旅行といえば、昔は目的地に行って、飲んで、騒いでお終いでしたが、せっかくみんなが集まる機会。宴会の前にゲームをやって、普段交流のない人と横のつながりを作るきっかけにしたり、来季の目標を話し合うきっかけにしたりと、オフサイトミーティングのツールとしても活用していただけます」

企業プロフィール

社名:株式会社HEART QUAKE(ハート クエイク)
住所:神奈川県川崎市幸区東小倉22-46
代表者:千葉 順
従業員数:5名 (2017年10月27日現在)
会社概要:2010年10月設立
主な事業内容:ビジネスゲームを用いた企業研修、セミナー開催。
HP:http://heart-quake.com/

執筆者紹介

土井ゆう子(どい・ゆうこ)(ジャーナリスト) インテリア雑誌の編集者を経てフリーに。インテリア、料理、旅など日々の暮らしの楽しみをテーマにしたものから、ビジネス関連まで幅広いジャンルで取材・ライティングを行う。「英国カントリーサイド 庭の美しいB&Bに泊まる旅」(NHK出版刊)、「大学生まれの食品 美味しいお取り寄せ」(双葉社刊)、「日経住宅サーチ 快適リノベLIFE」など多数手がける。

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