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人事が知っておきたい知識を解説


2018年版 人事・総務に関する制度変更まとめ

2017.12.30

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2018年もさまざまな制度改正が予定されている。2017年12月22日に閣議決定された税制改正大綱では、企業の生産性向上にまつわる内容が多く盛り込まれた。この記事では、人事・総務担当者がチェックしておきたい2018年の法改正をまとめた。

※この記事の内容は2017年12月時点のものです。

2018年1月の出来事

1月1日

配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し

平成29年度の税制改革により、配偶者控除及び配偶者特別控除の取り扱いが変更された。この改正は、平成30年分以後の所得税について適用される。

  • 配偶者控除の控除額が改正されたほか、給与所得者の合計所得金額が 1,000 万円を超える場合には、配偶者控除の適用を受けることができなくなる(改正前:給与所得者の合計所得金額の制限なし)。
  • 配偶者特別控除の控除額が改正されたほか、対象となる配偶者の合計所得金額が 38 万 円超 123 万円以下となる(改正前:38 万円超 76 万円未満)。

さらに、扶養親族等の数の算定方法の変更や給与所得者の扶養控除等申告書等の様式変更等も同時に行われる。

出典:「平成30年分以降の配偶者控除及び配偶者特別控除の取扱いについて」(国税庁、平成29年6月)

預貯金口座へのマイナンバーの付番

「個人情報の保護に関する法律及び行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部を改正する法律」(通称:マイナンバー法)に基づき、預貯金口座へのマイナンバーへの付番が行われる。これは、金融機関の預貯金口座をマイナンバーと紐づけ、社会保障の資力調査や税務調査の際にマイナンバーを利用して照会できるようにすることで、調査に対してより確かな実効性をもたせるもの。
具体的には、行政機関が銀行などの金融機関に対して、マイナンバーが付された預貯金口座の情報の提供を求めることが可能となる。そのため、金融機関には預貯金口座をマイナンバーにより検索可能な状態で管理することが義務付けられる。その管理上、預貯金者は銀行から任意でマイナンバーの告知を求められる。ただし、法律上預貯金者が告知義務を課せられることはない。

出典:「預貯金口座へのマイナンバーの付番について」(内閣府)

2018年3月の出来事

3月1日

経団連の定める「採用選考に関する指針」において示された、2019年卒への採用広報解禁日となる。

2018年4月の出来事

4月1日

改正労働契約法の発効

「労働契約法の一部を改正する法律」が施行日(平成25年4月1日)から5年を迎える。
同法律中には、同一の使用者との有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えた場合、労働者の申し込みによって無期労働契約、つまりは期間の定めのない労働契約に転換することを認める旨が示されている。平成25年4月1日にちょうど有期労働契約が始まり、契約を切れ目なく続けていた場合、2018年4月より労働者はこの法律を適用できることとなる。

出典:「労働契約法の改正について」(厚生労働省)

障害者雇用促進法改正

「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律」に基づき、法定雇用率の算定基礎が見直される。現行の法律では、身体障がい者と知的障がい者のみを算定基礎としていたが、4月より精神障がい者を算定基礎として追加する。
新しい法定雇用率の算定は、以下の計算式によって行われる。

法定雇用率=(身体障がい者+知的障がい者及び精神障がい者である常用労働者の数+失業している身体障がい者、知的障がい者及び精神障がい者)/(常用労働者数-除外率相当労働者数+失業者数)

ただし、施行後5年間(2018年4月1日~2013年3月31日)は猶予期間とし、計算式通りに引き上げないことも可能となっている。
なお、労働政策審議会では2018年4月1日から法定雇用率を2.2%とし、3年を経過するより前に2.3%に引き上げることを了承している。

出典:「障害者雇用促進法の改正の概要」(厚生労働省)
出典:『「障害者雇用率について(案)」の諮問及び答申』(厚生労働省)

税制改正

個人所得課税

個人所得税では、給与所得控除及び公的年金控除から基礎控除への振り替えとこれら3つの控除の見直しが行われる。

  • 給与所得控除……給与等の収入金額によって控除額が変わる控除。
  • 公的年金控除……公的年金等の収入金額によって控除額が変わる控除。
  • 基礎控除……一律に適用される控除。現行(29年度現在)38万円。

まず、基礎控除への振り替えということで、給与所得控除及び公的年金控除が一律10万円引き下げられ、基礎控除が10万円引き上げられる。
また、給与所得控除について、給与収入が 850 万円を超える場合の控除額を 195 万円に 引き下げる。(※ただし、23歳未満の扶養親族や、特別障がい者である扶養親族がいる場合は負担が増えないような措置が講じられる)
公的年金控除については、公的年金による収入が1000万円を超える場合、控除額に195.5万円の上限を設ける。また、公的年金以外の収入が1000万円超の場合は控除額が引き下げられる。
基礎控除については、合計所得金額 2,400 万円超で控除額が下がっていき、2,500 万円超で消失する仕組みとなる。

国内投資の加速化

生産性革命は、安倍政権が掲げる「新三本の矢」の一つだ。政府は、2018年度~2020年度末までを集中投資期間と位置づけている。これに際し、この税制改革では国内投資に積極的に取り組む企業に対して法人税負担を25%まで引き下げる。加えて、生産性向上に関連するIoT投資に取り組む企業の税負担を20%まで引き下げる。
さらに、

【1】平均給与等支給額が対前年度比3%以上増加
【2】国内設備投資額が減価償却費の総額の90%以上

等の要件を満たす場合、給与等支給額の前年度からの増加額の15%が控除される。特に、人的投資に積極的な企業は20%が控除される。共に法人税額の20%が上限となる。なお、中小企業については平均給与等支給額が対前年度比1.5%増加等の要件を満たす場合に、給与等支給増額について税額控除ができるよう改められる。

IoT投資の抜本強化

一定のサイバーセキュリティ対策が講じられたデータ連携・利活用により、生産性を向上させる取組について、 それに必要となるシステムや、センサー・ロボット等の導入に対して、特別償却30%又は税額控除3%(賃上げを伴う場合は5%)を措置する。 また、事業者は当該取組内容に関する事業計画を作成し、それを主務大臣が認定する。認定計画に含まれる設備に対して、税制措置の適用が行われる。なお、適用期限は、2020年度末までとなる。(「経済産業省関係 平成30年度税制改正について」より一部改変して引用)

中小企業の引継ぎ支援制度

事業承継の際の贈与税や相続税の納税を猶予する「事業承継税制」を今後5年以内に承継計画(仮称)を提出し、10年以内に実際に承継を行う物を対象とし、抜本的に拡充する。(「経済産業省関係 平成30年度税制改正について」より引用)改正案は、以下のものが提案されている。

【1】対象株式数・猶予割合の拡大
(改正前:2/3の上限及び猶予割合は80%→改正案:上限を撤廃及び猶予割合は100%へ)
【2】対象者の拡大
(改正前:1人の先代経営者から1人の後継者へ→改正案:複数の株主から最大3人の代表者である後継者へ)
【3】経営環境変化に応じた減免
(改正前:承継時の株価をもとに相続税・贈与税を決定→改正案:売却・廃業時に再計算。差額を減免する)
【4】雇用要件の実質的撤廃
(改正前:5年間平均で雇用の8割を維持出来ない場合、猶予されていた相続税・贈与税の全額納付義務→改正案:撤廃、納税猶予が継続可能に)

また、中小企業が再編・統合される場合の税負担にかかわる軽減措置も創設される予定である。後継者がいない企業では、M&Aによって再編・統合を行うことで、事業を継続させ技術を残すことが重要だ。そのため、認定を受けた生産力向上計画(仮称)に基づき、再編・統合を行った際の登録免許税や不動産取得税を軽減させる計画となっている。

中小企業の賃上げ強化

さらなる支援として、控除率を従来の10%から15%まで引き上げるとともに、制度のシンプル化を実施。幅広い企業の活用を推進する。さらに、2.5%以上の思い切った賃上げ及び人勢投資・生産性向上に取り組む企業には控除率を従来の22%から25%まで引き上げる。

 以上にまとめたのは、税制改革でも重要と思われる部分だが、税制改革全体について触れられたわけではない。税制改革にまつわる詳細は下記のリンクを参照されたい。

参考資料:「平成30年度 税制改正の大綱の概要」(財務省、平成29年12月22日)
参考資料:「平成30年度 経済産業省関係 税制改正について」(経済産業省、平成29年12月)

2018年6月の出来事

6月1日

経団連の定める「採用選考に関する指針」において示された、2019年卒採用の選考解禁日となる。

2018年8月の出来事

介護保険制度改正

現役世代並みの所得のある者の利用者負担割合が見直される。
世代間・世代内の公平性を確保しつつ、制度の持続性を保つことを目的に2割負担者のうち特に収入が高い者の負担割合を3割へと引き上げる。ただし、月額44,000円の負担上限がある。
また、介護納付金における総報酬割の導入が行われる。第二号被保険者の保険料は、医療保険者が介護納付金として一括納付している。現行、各医療保険者は、被保険者の数に応じて納付金を負担しているが(加入者割)、この改正によって被用者保険間は報酬額に応じて負担する仕組み(総報酬割)へと移行する。これにより、「負担増」となる被保険者はおよそ1,300万人、「負担減」となる被保険者はおよそ1,700万人と予測されている。

参考資料:「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」(厚生労働省、平成29年2月7日)

2018年9月の出来事

9月30日

改正労働者派遣法発効

平成27年9月30日に施行された「労働者派遣法改正法」の期間制限のルールが発効する。
施行日以降に締結及び更新された労働者派遣契約では、すべての業務においてこのルールが適用される。
まず、派遣先事業単位の期間制限である。同一の派遣先の事業所において派遣できる期間は原則3年となる。派遣先が3年を超えて受け入れようとする場合は、派遣先の過半数労働組合からの意見を聞くことが必要となる。
さらに、派遣労働者個人の期間制限として同一の労働者を、派遣先の事業所における同一の組織単位に対し派遣できる期間が3年が限度となる。
施行日から継続して結ばれていた派遣契約がある場合、平成30年9月30日にこのルールが発効される。なお、施行日前に締結されていた労働契約においては、その契約が終了するまで、改正前の期間制限が適用される。また、無期雇用されている派遣労働者、60歳以上の派遣労働者はこちらの期間の対象外となっている。

参考資料:「平成27年度労働者派遣法の改正について」(厚生労働省・都道府県労働局)

2018年10月の出来事

10月1日

経団連の定める「採用選考に関する指針」において示された、2019年卒の最初の内定日となる。

2018年のスケジュールを概観して

2018年は、扶養者控除の改正や改正労働契約法の発効など、公私にかかわる制度改正が多く行われる。年明けや新年度が始まる時期はただでさえ忙しいものだが、それに重ねて改正される制度も多くなる。これらの改正を頭に入れておくことで、防げるミスも多い。適宜こちらのスケジュールを確認しておきたい。

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