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「リクルーター復活の兆し」


リクルーター制のメリットとは? 導入の背景と復活の理由を聞いた

2015.06.01

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14年卒に比べると5カ月以上の大幅なスケジュールの後ろ倒しにより、実質的な選考期間が短くなる16年卒採用では「リクルーター制」を活用する企業が増えている。
大手就活サイトの台頭により90年代後半から縮小していたリクルーター制を復活させる企業や、新規に導入する企業、例年より人員を増員する企業など、さまざまだ。

目次
  1. 導入が相次ぐ背景は「採用の競争激化」
  2. リクルーターが担える4つの役割
  3. リクルーター制の導入には経営トップの協力が不可欠

導入が相次ぐ背景は「採用の競争激化」

相次ぐ導入の背景には、言うまでもなく採用競争の激化がある。例年より2カ月遅く就職活動が解禁した15年卒でさえ、母集団の不足や内定者の辞退に悩まされた人事担当者も多かっただろう。
さらに3カ月短縮された16年卒では、前年以上の苦戦が強いられている。そんな中、各社はリクルーターをどのように活用しているのだろうか。

ディリゴ代表の長谷真吾氏

ディリゴの長谷真吾氏

人材採用コンサルティングを行うディリゴ代表の長谷真吾氏によれば、「これまでのリクルーターは、ある程度選考が進んだタイミングで、優秀な学生の囲い込みや辞退防止のためのフォローに注力していました。15年卒以降の傾向では、より母集団の形成にも注力する流れがあります」と言う。

解禁日より前に、少しでも早く優秀な学生へアプローチをしたい企業では、リクルーターを各大学で開催する企業説明会に送り込んでいる。MARCH(明治、青学、立教、中央、法政)クラスはもちろん、日東駒専(日本、東洋、駒沢、専修)クラスでも大学内の説明会スケジュールはほぼ満杯の状態だという。

リクルーターとは
人事担当者以外で就活生とコンタクトをとる社員のことを指す。主に就活生と同じ大学出身者や、就活生と年齢が近い若手社員が担当するケースが多い。OB・OG訪問は学生側からのアプローチである一方、リクルーターによる訪問(面接)は企業側からのアプローチになる。

リクルーターが担える4つの役割

リクルーターに求められる役割は、おおむね以下の4つが考えられる。

  • 1.母集団の形成(選考)
  • 2.企業理解の促進
  • 3.志望度の向上
  • 4.内定辞退の防止

特に中小企業や、学生に知名度が低いBtoB企業において、リクルーターが果たせる役割を1つずつ見ていこう。
まず「1.母集団の形成」(選考)は、前項の通り。売り手市場や採用スケジュールが短期となる年において、リクルーターが大学を訪問することは他社との差別化を図る大きな一歩となる。
さらには、かしこまった面接の場では引き出せない学生の本音が垣間見えることも多いため、リクルーターの評価を選考過程に取り入れる企業は多い。

次に「2.企業理解の促進」「3.志望度の向上」においても、リクルーターは非常に重要な役割を担うことができる。「じっくり、企業・業界研究をする時間が持てず、理解が浅いまま採用になる学生が増えています。リクルーターが学生に接することで、自社への理解を促すことは、そのまま志望度の向上にもつながり、内定受諾だけでなく入社後の早期離職の防止にも貢献ができます」と長谷氏。さらに先輩社員の“人柄”で入社を決めた学生は8割にも上るという。なかには、「就職先は、仕事内容よりも“人”(先輩社員や上司の雰囲気)で選べ」とアドバイスしている就職エージェントもいるほどだ。

「4.内定辞退の防止」に関しても、リクルーターが果たせる役割は大きい。情報過多の世界では、学生は内定受諾後も常にさまざまな情報にさらされ続ける。内定先企業や業界についてのネガティブな情報に触れれば、ついつい他の会社が気になるもの。リクルーターが学生と定期的に接点を持つことで、そんな学生のちょっとした心境の変化を察知し、早めにフォローができれば、「想定外の内定辞退」はぐっと減らすことができる。

リクルーター制の導入には経営トップの協力が不可欠

メリットが多いリクルーター制ではあるが、これまで採用に関して、他部署の協力を仰いでこなかった企業、もっと言えば社内で人事部の力が弱い企業にとって、その導入のハードルは高い。まずはどこから着手するべきだろうか。これまで大手企業から中小企業にリクルーター制導入の手引きを行ってきた長谷氏によれば、導入には不可欠な条件が3つあるという。

1つは、会社トップがリクルーター制導入に積極的であること。大企業であれば、人事を統括する役員クラスの協力、中小企業であれば社長の協力は不可欠だ。トップダウンで、全社に向けて、採用活動とリクルーター制度の重要性を発信してもらおう。
もう1つは、社内の協力者を増やしていくこと。学生に立場が近い、入社3年以内の若手社員を中心に少しずつ協力者を増やしていこう。

最後は、社内のルール作りだ。休日出勤や時間外勤務、学生との飲食費の精算などは、事前に取り決めておく必要がある。採用に関わる休日出勤などの人件費や、それに伴う経費は、基本的に人事部が負担するのが一般的だ。他にも、リクルーターとして協力した社員がいる部署には、「新卒採用者の中から配属社員を優先的に選ぶ権利」を与える企業もある。(続く)

リクルーターと採用活動
エントリーシートの提出や会社説明会後、またはOB・OG訪問後、人事担当者が早期に獲得したいと思った就活生をピックアップし、リクルーターを派遣する。かつては企業の広告塔としての側面もあったが、現在は利用する多くの企業が「採用担当者の一人」と位置づけている。

執筆者紹介

玉寄麻衣(たまよせ・まい) 1979年生まれ。立命館大学政策科学部卒業。外資系大手人材派遣・人材紹介会社で、営業として主に中小企業の人材採用をサポート。その後フリーランスのライターとなり、人材採用、人材育成、大学教育、広報・PR、企業経営等に関する取材・執筆を行う。

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