jMatsuzakiの「自己啓発書評」
なぜか仕事をサクサクこなせてしまうタスクシュート時間術
2015.11.06
4年前の2011年夏に出会って驚愕した時間管理術があります。大橋悦夫さんと佐々木正悟さんの提唱していた「タスクシュート時間術」です。これは今まで出会ってきた時間管理術とは一線を画すものでした。それ以来、私はすっかり虜になってしまいました。
タスクシュート時間術は、タスクの実行と実績の記録を繰り返しながら、習慣レベルで時間の使い方をまるっきり変えてしまえる超強力なメソッドです。
このタスクシュート時間の考え方を体系的に整理し、一冊の本にまとめたのが今日紹介する書籍『なぜ、仕事が予定どおりに終わらないのか?~「時間ない病」の特効薬!タスクシュート時間術』です。
生活の質が低いのは、本当にやるべきことを後回しにしているから
繰り返しやっていることを、優先順位も考えないまま取り組んでしまうのをまず、ガマンしてみることです。それだけでも時間の使い方がうまくなることがよくあります。
本文より引用(位置No.249/1800)
※引用番号は電子書籍のページを示しています。
本書で説明されている「タスクシュート時間術」の一番の本質は、この部分によくあらわれています。仕事の優先順位を徹底させることで、時間を増やしたり仕事の処理スピードをあげたりしてくれるメソッドなのです。
考えてみてください。生活の質を上げるために必要なのは、悪いことを断つことではありません。悪いことは悪いと自覚できる時点で断ちやすいともいえます。本当に難しいのは、優先度Aの仕事を優先度B以下の仕事よりきちんと優先することなのです。
単に「毎日やっているから」「やったほうがいいから」「気になるから」という理由だけで、本当にやるべきことを後回しにしてしまったことがどれだけあるでしょうか。
「タスクシュート時間術」はこの問題を以下5つのステップで解決してくれます。
- 「本日1日分の仕事」を1シートで管理する
- 「これからやる仕事のリスト」と「ここまでにやった仕事のリスト」を一元管理する
- 「1分以上時間のかかること」はすべて管理する
- すべての仕事の「見積もり時間」を出しておく
- 「本日1日分の仕事」がすべて終わったら何時になるかの予測を自動算出することで、常に仕事の終わる時間(または就寝時刻)をリアルタイムに把握する
本文より引用(位置No.567/1800)
なぜか仕事がサクサクこなせてしまう5つの理由
タスクシュート時間術がなぜそれほどパワフルなのか、その理由を5つに分けて詳しく見ていきます。
1.タスクシュート時間術に最適化されたツールがある
タスクシュート時間術を実践する5つのステップを先ほど紹介しましたが、それを独自にやろうとするとなかなか大変なはずです。一般的なやり方よりは管理すべきタスクの数が増えるでしょうし、見積時間から終了予定を計算するには計算ソフトが必要になります。
そこで、タスクシュート時間術を実践することに最適化されたツールがあります。これを使えば、タスクシュート時間術を確実かつ簡単に実践できるというわけです。これはタスクシュート時間術の大きな特徴といえるでしょう。
▼以下は私が使っている「TaskChute」というツールの画面です。
ツールはExcel上で動作するものと、iPhoneアプリとして動作するものの2種類が存在します。以下のリンク先から入手できます。
▼Excel版
http://shigotano.info/mbr/taskchute2/paypal.php
▼iPhone版
https://itunes.apple.com/jp/app/taskuma-taskchute-for-iphone/id896335635?mt=8
2.どんなタスクにどれだけ時間を使えるか正確に見える
タスクシュート時間術では、今日一日の仕事を全て並べて全てに見積時間を設定します。ですから、今日の業務終了時間が正確に分かります。そして、その終了予定時間はタスクを完了するごとにリアルタイムに更新されていくのです。
そのため、常にどれだけ余裕があるのか、予定に対して遅れがあるのか正確に分かるようになります。そうすれば、やりたかったけどできなかったという事態は無くなるでしょう。
3.タスクの実績を記録することで集中力が上がる
タスクシュート時間術の一番の特徴は、タスクに完了のチェックを入れる代わりにタスクの開始時間と終了時間を記録することです。こうすることで残タスクだけでなく、いままでのタスクの実行ログが積み上がっていきます。
自分の実績が可視化されるので、いまやるべき仕事に集中できるようになります。安易に脱線したり、悪癖に流されたりしなくなるのです。
4.脱線や割り込みに柔軟に対応できる
タスクシュート時間術は、今日一日のタスクをすべて実行順に並べ、それぞれに見積時間を設定することで機能するメソッドです。
そう聞くと、なかには細かい計画をたててもすぐに破綻するから無意味だと思われる方がいらっしゃるようです。しかし、これはタスクシュート時間術を実践してみれば分かることですが、このやり方こそ脱線や計画変更、割り込みタスクなどに最も柔軟に対応できる方法なのです。
なぜなら、タスクシュート時間術に従えば、割り込みでタスクが入ってきたときに当初の予定がどのように崩れるかが明確に分かるからです。それによってどのくらい残業すれば終わるのか、当初予定していたタスクをどれだけ先送りすれば良いのかが見えるのです。
5.繰り返し使えば習慣レベルで時間の使い方が変わる
タスクシュート時間術でなければできないと私が感じているのは、「習慣をより良い習慣に置き換える」こと。これは時間管理、タスク管理に取り組んでいれば誰もが実感すると思いますが、とても難しいことです。
タスクシュート時間術を実践するということは、一日の計画をたて、その実績をログに残し、次回に向けてチューニングするというサイクルを回し続けることになります。
習慣というのは一時の決意で変えることはできません。しかし、このように計画と記録と改善のサイクルを回していけば着実に習慣を変えていけます。これは他の時間管理術では成し得ない実にパワフルな特徴なのです。
時間の使い方を根本から見なおし、時間を豊かにしてくれる一冊
勘違いしていただきたくないのは、本書に書かれていることの本質は決して目の前の仕事をいかに能率的に進めるかではない点です。本書を実践すれば結果的に仕事のスピードが上がるのは間違いありませんが、それはタスクシュート時間術の1つの側面に過ぎません。
本書が教えてくれるのは時間を豊かにする方法です。重要度の低いことを切り捨て、重要度の高い仕事に集中し、時間を豊かにしながら生活の質をあげてくれるものなのです。
「仕事が忙しくて精神的にも辛い」「もっと重要だと思える仕事に没頭したい」「休日も有意義な時間の使い方をしたい」。そんなあなたに手にとって欲しい一冊です。
- なぜ,仕事が予定どおりに終わらないのか?(大橋悦夫、佐々木正悟/技術評論社)
貴下の従順なる下僕 松崎より
執筆者紹介
松崎純一(jMatsuzaki) IT系専門学校を卒業後、システム屋として6年半の会社員生活を経て独立。 ブログ「jMatsuzaki」を通して、小学生の頃からの夢であった音楽家へ至るまでの全プロセスを公開することで、のっぴきならない現実を乗り越えて、諦めきれない夢に向かう生き方を伝えている。 2015年からはjMatsuzaki名義でバンド活動を開始。 ブログ:jMatsuzaki(http://jmatsuzaki.com/)
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