企画

企業力を強くする「福利厚生」


多彩な福利厚生で、社員の心をわし掴み!株式会社ニュートン

2015.12.04

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ユニークな福利厚生を導入する企業が増えている。自社のミッションやカルチャーにマッチした福利厚生によって、社員の意欲向上や離職率の低下、そして共感した人材の採用といった効果が期待できる。今回は、ブライダルやホテル、レストランなどの事業を展開する株式会社ニュートンの取り組みについて、人事総務部次長兼広報担当責任者の松尾祥司氏にお話を伺った(2015年8月取材)。

目次
  1. 成長意欲をバックアップ! 無料受講の充実した研修制度
  2. 社員と家族の健康もしっかりサポート
  3. 採用でも効果あり! 学生の心をつかむ制度

成長意欲をバックアップ! 無料受講の充実した研修制度

同社では、社外の100以上のクラス別研修を、幅広い時間帯で受講できる『ハッピーアップル・スタディ・プラン』制度を設けている。費用は会社負担である。この制度を導入した経緯は何だったのだろうか。松尾氏はこう語る。「目的は、社外研修を活用して社員の知的好奇心を満たし、ビジネススキルを高めてもらいたいというもの。会社が負担するコストを差し引いても、アカデミックな福利厚生によって、社員の能力が向上し、採用でも学生にとって魅力的に映るのなら、導入に値すると判断しました」

注目すべき点は、この制度がトップダウンではなく、総務や人事担当者からの提案という「ボトムアップ」で生まれたことである。同社には、制度改善などの意見を、匿名・記名を問わず、どの部署の社員でもいつでも投稿でき、総務や人事担当者が取りまとめて、トップに諮る仕組みがあるのだ。

とはいえ、提案を実行に移すまで、説得にさぞ苦労したのではと思いきや、会社全体へのメリットをしっかりプレゼンし、トップの納得が得られれば、承認されるのだという。「当社には全社的な経営指針や理念、社訓をまとめた冊子があり、その中に、『出る杭は伸ばせ』、『人を育てることは出来ない、出来ることは助けることだけ』と書かれています。その考えに則ると、外部研修の充実は費用対効果の高い試みだという理解を得られ、実施に漕ぎつけることができました」

社員の意見を定期的に審議し、理念に基づいて実施するかどうかの判断を下すという風土が社内全体に浸透していることが伺い知れる。

では、研修制度を社内に浸透させるために、どんな工夫をしてきたのか。
「まず重視したのは、制度利用の実績づくりでした。最初は、休日に研修を受けることにハードルを感じる人もいました。ですが、受講者が、研修で学んだことを仕事の中でも活かしていき徐々に成果が出て当社で導入している360度考課システムでも高い評価につながった事例や、『非常に役に立った』という利用者の生の声を広げていくことで、口コミ効果が生まれ、利用者が増えていきました。今では、有意義な休日の使い方として、社内での認知度はほぼ100%になっています」(松尾氏)

社員と家族の健康もしっかりサポート

同社のユニークな福利厚生は、知的好奇心を満たすだけでなく、社員やその家族の健康面の維持をもカバーしている。その具体例は、「豆乳の年4回のプレゼント」や、群馬県水上にある保養所の利用である。冬はウィンタースポーツ、夏はラフティングや果物狩りが楽しめ、保養所の利用は無料だというから驚きだ。導入意図について、松尾氏は次のように話す。

「社員とご家族の心身の健康こそが、企業の成長発展に不可欠だと考えているからです。同社のようなサービス業ですと、体力的にハードな面もあるので、健康面への配慮は、一般企業以上に重要です。こうした意識から、インフルエンザの予防接種の費用も会社負担にしています」

社員の反響はどうだろうか。「一家で豆乳を楽しみにしているという声もありますし、保養所を繰り返し利用している家族も多いので、モチベーションアップにもつながっているのではないでしょうか」(松尾氏)

採用でも効果あり! 学生の心をつかむ制度

こうした充実の福利厚生は、新卒採用にも効果が出ている。
「当社では女性が長く勤められるように、復職後の時短制度の導入や地域限定職の設置などの施策を行っています。これが女子学生には魅力的に映っているようです。また、年次や部署を越えて女性社員がキャリアの悩みを相談でき、先輩社員がアドバイスをするという交流会も定期的に開催されています。女性社員同士のつながりができると、女性社員からは好評ですね」(松尾氏)

社員のニーズを汲み取った制度や施策は、社員の満足度向上や能力開発だけでなく、採用にも寄与し、会社の発展の源泉となっている。業種を越えて参考になるヒントがあるのではないだろうか。

執筆者紹介

松尾美里(まつお・みさと) 日本インタビュアー協会認定インタビュアー/ライター。教育出版社を経て、2015年より本の要約サイトを運営する株式会社フライヤー(https://www.flierinc.com/)に参画。ライフワークとして、面白い生き方の実践者にインタビューを行い、「人や団体の可能性やビジョンを引き出すプロジェクト」を進行中。ブログは教育×キャリアインタビュー(http://edu-serendipity.seesaa.net/)。

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