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特集

倫理憲章の是非を問う-2016卒採用-


【前編】採用活動後ろ倒しと学生の胸のうち

2015.10.16

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日本において、新卒採用活動がこれほど大きな変化を遂げようとしている時代は、いまだかつてなかったのかもしれない。2016年卒の採用活動から、ナビサイトのオープンを始めとした広報活動は卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降に、試験や面接などの選考活動は卒業・修了年度の8月1日以降に後ろ倒しとなった。経済界を中心に賛否両論が飛び交う中、選考活動中の採用担当者や就職活動生、そして採用コンサルタントへの取材を行い、採用活動の現状と課題を見出すとともに、優秀な人材獲得への道筋についてのヒントを探った(2015年8月取材)。

そもそも就職活動後ろ倒しの背景は?

まずは、採用活動の早期開始を自粛するようになった背景を振り返ってみたい。2011年の倫理憲章の改訂により、2013卒採用の広報活動開始が大学3年次10月から12月へとなったものの、依然として大学の授業・試験期間と重なっており、「学生の成長が最も期待される3年次の教育に支障をきたしているうえに、学生は3年次後期の留学をあきらめざるを得ない」という問題が顕在化していた。

一般社団法人 日本経済団体連合会(以下、経団連)が平成25年9月13日に発表した「採用選考活動早期開始の自粛」によると、自粛の背景は「学生が本分である学業に専念する十分な時間を確保するため」とあり、夏前に帰国する留学生の就職活動のチャンスを増やすのも、狙いの一つとされている。

なお、大学等卒業予定者の就職活動のあり方について検討・協議を行う就職問題懇談会※1は、翌年9月16日の「企業等の協力を得て取り組むキャリア教育としての学内行事実施に関する申合せ」で、企業側に対し、「学内セミナー」についてはキャリア教育の一環として実施されるものであり、いわゆる採用広報活動としての企業説明会とは明確に区別して行うべきだと通達している。

※1:国公私立の大学、短期大学及び高等専門学校関係団体で構成される組織。昭和28年度から設置され、文科省が事務局を務める。

就職活動の長期化という実態

では、実際に後ろ倒しによって、学生は経団連が見込んでいた「恩恵」を、はたして享受できたのだろうか?
就職率や内定辞退率ばかりが注目されるが、この疑問を検証するには本来、「学生が学修機会をどれほど確保したか」「留学がどれほど増えたのか」について調べる必要があるはずだ。もう少し時間もかかるだろう。

ただ、検証を待つ間でもなく学生や大学、中小企業側から「不満」の声があがった。経団連に加盟している大手企業の多くは倫理憲章を守り、8月以降に選考活動をずらしたものの、経団連に加盟していない外資系やIT系企業などは、例年通り採用を進めていたり、加盟企業であっても、「面談」という名目で採用面接に代替する場を設けていたりするケースも見受けられた。

中小企業は例年のように、大手企業の選考から漏れた学生をターゲットとするには時間がないため、積極的に春先から選考活動を開始させた。この結果、学生にとっては就職活動が、企業側にとっては採用活動が長期化したことは言うまでもない。

そればかりか、内々定獲得を条件に就職活動を終わらせようと学生に圧力をかける通称「オワハラ」が起きたり、内定者研修と称して学生が他社の選考を受けられないよう長時間拘束させたりする問題が世間を騒がせたため、選考開始時期直前の7月30日に就職問題懇談会が「公平・公正な採用選考活動の実施について(緊急メッセージ)」を、翌日には文部科学省が「採用選考活動開始に当たっての文部科学大臣メッセージ」と題して、配慮を求めたほどだ。

学生には「恩恵」どころか「迷惑」となったこの問題も、長期化を起因とする企業側の「焦り」が起こしたという見方ができるだろう。

就職活動を迎える学生の胸のうち

前例のない就職活動に臨むことになった学生はどのような心境にあったのか。広報活動開始から1カ月が過ぎようとしていた今年3月末の時点、マイナビが行った『2016年卒マイナビ学生就職モニター調査3月の活動状況』※2の結果によれば、先輩(2015年卒)と比較して自分たちの就職活動が「(かなり+多少)楽になる」と回答したのは11.6%で、2015年卒の広報開始時期の12月末にとった同アンケートと比較して18.2減少。一方、「(かなり+多少)厳しくなる」と回答したのは、62.6%と同比較で53.6ポイントも上昇しており、スケジュールの変更に不安を抱えながら就職活動を開始した学生が多かったといえる。実際に、就職活動に入った時点でその心境がどう変わっていくのか。

コンサルやIT業界などの有名企業をメインに就職活動をしているAさん(女性、関西の難関国立大・理系)は、今回の採用活動後ろ倒しについて、「メリットをあまり感じない」と話す1人。次のように問題点も指摘する。
「学生は実際には前年の夏からインターンシップなどの参加も含めて、活動を開始するので、かえって就職活動が長期化している。(4年の)夏まで選考が続くと、卒業・修士論文の研究を進められない人もいるため、学業にも支障をきたす」。理系学生の場合、研究者として力を注ぐべき時期が、就職活動と重なってしまうという状況が生まれている。

一方、留学経験者で、大学卒業後に就職活動を考えているBさん(女性、関西の私立大・文系)からは、こんな声が寄せられた。「(選考の)時期がいつになろうと、卒業までの期間に採用が行われる限り、日本の就職活動システムが学生の勉学を妨げていることに変わりはない。選考が後ろ倒しになって、学生に余裕ができたように感じますが、その分、準備期間が長くなっただけというのが正直な印象です」

学生が学業に専念する十分な時間を確保するために実施された採用活動の後ろ倒しは、本質的な解決策にはなっていないと彼女たち見ている(後編に続く)。

※2:2015年3月26日~2015年304 月31日の期間で、2016年卒業予定の全国大学4年生及び院2年生を対象に調査。モニター登録数4,280のうち有効回答数は1,832。

※この記事は9月15日時点の情報をもとに作成しています。(構成:編集部)

執筆者紹介

松尾美里(まつお・みさと) 日本インタビュアー協会認定インタビュアー/ライター。教育出版社を経て、2015年より本の要約サイトを運営する株式会社フライヤー(https://www.flierinc.com/)に参画。ライフワークとして、面白い生き方の実践者にインタビューを行い、「人や団体の可能性やビジョンを引き出すプロジェクト」を進行中。ブログは教育×キャリアインタビュー(http://edu-serendipity.seesaa.net/)。

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