コラム

残業ゼロを目指して


時間をムダにする自分を変えるために、明日から取るべき2つの行動

2017.10.26

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残業ゼロを実現するためのビジネスハック術を紹介する、ベストセラー作家・佐々木正悟氏の連載企画。今回は、『スタンフォードの自分を変える教室』を題材に、「時間をムダにしてしまう自分を変える方法」をご紹介します。

目次
  1. 人は多くの行動を無意識のうちに行っている
  2. 「記録」は無意識の自分を浮かび上がらせる
  3. ついやってしまう行動を「意識する」ことで変えていく

人は多くの行動を無意識のうちに行っている

私たちは「無意識のうちに決定」しているということをつい忘れがちです。

ケリー・マクゴニガルは、著書『スタンフォードの自分を変える教室(だいわ書房)』の中で、コーネル大学教授のブライアン・ワンシングが行った興味深い研究を紹介しています。

実験では、まず参加者に「食べ物に関する決断を、自分が一日に何回くらい行っていると思うか」を尋ねました。この「食べ物に関する決断」というのは、「何かを食べるか食べないか」「食べるならどれにするか」といった意思決定を指します。質問に対する参加者の回答は、平均で「14回」というものでした。

しかし参加者へ、実際に一日間「食べ物に関する決断を行った回数」の記録を取ってもらったところ、結果は平均で「227回」にもなったのです。つまり実験者たちは、200回以上の選択を無意識に行っていたことになります。

人は無意識のうちに決断を下しているのであり、そうである以上、ひとつひとつの行動を良くするために目指すべきは「無意識の状態をよりベターなものにする」ということになります。

そしてそのための本が、たとえば上に引用した『スタンフォードの自分を変える教室』です。ここでいう「自分を変える」とは、より正確には「無意識に決定する自分を変える」ということになります。

「記録」は無意識の自分を浮かび上がらせる

時間をムダにしてしまう自分を変えるために必要な1つめの行動は「記録」です。上記の例では、記録を残したからこそ「200回以上もの選択を無意識に行っていた」ことが分かりました。

どんな事柄であっても、何かを変えたいと思ったら「記録」を取ることからスタートするのが効果的です。多くの方は面倒だと思われますが、実は長期的に見ればいちばん手っとり早いのが記録を取るという手法なのです。このことを理解することが、事態を打開する上での最短コースとなります。

たとえば、会社の日々のルーティン作業に難を感じるなら、自分が行っている作業について記録を残すことです。自分は、どんな作業をどれだけの時間をかけてやっているのか。まずはなるべく詳細に記録に残していきましょう。

たったそれだけのことからでも、自分が思わぬ作業を頻繁に行い、想像以上の時間をかけていることが分かります。「頻繁に」というのがくせ者で、自分では10回くらいやっているつもりのことは、だいたい100回くらいやっているものです。100回も余分な作業を行っていたら、たとえちょっとした作業であろうと、かなり長い時間を浪費してしまうことになります。

ついやってしまう行動を「意識する」ことで変えていく

自分の行動について記録を始めたら、次にやるべき2つ目の行動は「ついやってしまう行動を意識する」ということです。

業務時間が長くなれば、「ムダなことをついやってしまう機会」も増えてしまいます。これは、感覚的に共感いただける方が多いのではないでしょうか。前述の『スタンフォードの自分を変える教室』では、こんな例が紹介されています。

ミシェルは31歳。ラジオ番組のプロデューサーで、パソコンでも携帯でも絶えずメールをチェックしていました。そのせいで仕事の生産性は下がり、恋人の機嫌もそこねていました。一緒にいてもミシェルがメールに気を取られているからです。

(中略)

そこでミシェルは「メールをチェックしそうになった瞬間を意識する」という目標を立てました。すると翌週には、携帯に手を伸ばしたり、メールを開こうとしたりしている瞬間に気付くようになりました。

ケリー・マクゴニガル著『スタンフォードの自分を変える教室』(だいわ書房)

自分の衝動とその結果の両方を把握できたおかげで、ミシェルさんは以前よりも自分の行動をコントロールできるようになりました。作業を「改善する」よりもまず先に、ムダだと思われる行動を「意識する」だけで、ムダな行動を控えるようになり、日々の業務は変わっていきます。

記録に残せば、「どんなときにそういう気分になりそうか」はわかりますが、「その瞬間」がいつ来るかまでは教えてくれません。ついしなくていいメールチェックを始めたり、SNSをチェックしたりしてしまうその瞬間を意識することで、日々の「ムダ」を減らしていきましょう。

執筆者紹介

佐々木正悟(ささき・しょうご) 心理学ジャーナリスト。「ハック」ブームの仕掛け人の一人。1973年北海道生まれ。「効率化」と「心理学」を掛け合わせた「ライフハック心理学」を探求。執筆や講演を行う。著書に、ベストセラーとなったハックシリーズ『スピードハックス』『チームハックス』(日本実業出版社)のほか『先送りせずにすぐやる人に変わる方法』(中経出版)『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』(ソーテック)などがある。ブログ:佐々木正悟のメンタルハック

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