コラム

残業ゼロを目指して


「いちばん大変そうな仕事」から手をつける

2017.09.28

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残業ゼロを実現するためのビジネスハック術を紹介する、ベストセラー作家・佐々木正悟さんの連載企画。今回は、これまでに執筆した本の中で、もっとも反響の大きかったテーマを扱います。

「仕事の先送り」は誰しもが経験してしまうこと

気乗りのしない仕事をついつい先送りにしているうちに、気がつくとプロジェクトの締め切りが迫ってきて大変なことになる。こういうことはよくあることで、そんな経験は1度もない、という人はかなり珍しいと思います。

私はいわゆるビジネス書をこれまで40タイトル以上出してきていますが、その中でもっとも読まれたのが「先送り防止系」の本です。このテーマは、それだけ多くの人にとって悩みの種なのだろうと思います。

私自身ももちろん「先送りに悩む系」の人間です。小さいころから頻繁に先送りを繰り返しては痛い目にあってきました。自分で書いた「先送り防止系」のタイトルには「いつも先送りするあなたがすぐやる人になる50の方法」などといった本もありますが、要するに、いろんな方法をいつも試行錯誤してなんとか今日までやって来ているとも言えます。

その中でも個人的に、「これは効く」と私が思っている方法の1つを、今回ご紹介したいと思います。

いちばん大変そうなことから手がける

 その方法というのは「1日の最初に、いちばん大変そうな仕事から手をつける」というやり方です。

こう言うと「ストイックすぎるのでは」と思われるかもしれません。しかしこの方法は、いろんな意味で合理的で、結局は楽ができるやり方でもあるのです。

まず、仕事の最初に「いちばん大変なこと」を済ませてしまえば、その後は「比較的楽な仕事」だけが残っていることになりますから、気分よく進められることが多くなります。1日の最初に集中力を最大限発揮できれば、あとは楽ができるということです。

大抵の人は「仕事に取り組みはじめたとき」が、1日でいちばん元気なときです。当たり前のことではありますが、仕事をすれば疲労するし、起床してから時間が経つほど精神力も減っていくため、会社に着いてから時間が経てばたつほど、集中力はなくなっていきます。加えて、当然のことではありますが、会社に着いた直後が「もっとも仕事をするための時間が残っている時間帯」です。

つまり、いちばん元気で、いちばん時間のあるときに、いちばん大変そうな仕事をするということは、理に適ったことなのです。

「大変そうなもの」から逃げると、自信を失ってしまう

アメリカの臨床心理学者、リンダ・サバディンは著書『グズの人にはわけがある』の中でこう述べています。


先延ばしは、どうしても自尊心を傷つける。
その結果、楽天的なものの見方や幸福感、想像のためのエネルギーが失われることになる。

何かを先延ばしにするということは、タスクマネジメントという観点だけではなく、精神的な観点からも、良いことではないのです。

同時に、「やれば必ずできること」をこなした場合、自信がつくことはあまりありませんが、「できるかどうか難しいこと」をやり遂げれば、自分に自信を持つことができます。

午前中の早い段階に「やり遂げた」という感覚と自信を持てれば、残りの時間もちょっとした「万能感」を持って過ごせるというのは、見逃せないメリットです。

逆に、「大変そうだ」と思うことを先延ばしにしてしまうと、1日ずっとどこか自信を持てないまま過ごすことになります。なにかを大変そうだと一瞬でも思えば、そのことを自分には隠せませんし、それをやらなかったことは、自分には分かっているわけです。だからこそ、大変そうだと感じることから手をつけることには意味があります。

「とりあえず5分だけ」やってみる

そうは言っても「いちばん大変なこと」に向き合う気持ちになかなかなれない、というのが人情です。そんなときは「5分だけでいいからやってみる」というルールを適用してみましょう。

100万部を超えるベストセラーとなった、ビジネス整理術の元祖ともいえる『「超」整理法』を執筆した野口悠紀雄氏は、著書『「超」文章法』の最終章を「始めればできる」と名付けています。

これは、シンプルながら非常に強力なメッセージです。仕事でもっとも大変なのは「始める」ことで、取りかかることができれば、仕事は必ず終わらせることができます。

たとえいちばん大変そうに見える仕事でも、まず5分だけでも取りかかっておけば、必ず気が楽になります。少なくともまるまる翌日に投げてしまうよりは、ずっと気持ちが上向くでしょう。こういうことは誰しも経験したことがあるはずです。

出社直後は「メールチェックでウォーミングアップ」などではなく、その日の仕事の中でもいちばん大変そうなことに取りかかってみましょう。1週間も続けられれば、「先送りグセ」がほとんど消え去っているはずです。

執筆者紹介

佐々木正悟(ささき・しょうご) 心理学ジャーナリスト。「ハック」ブームの仕掛け人の一人。1973年北海道生まれ。「効率化」と「心理学」を掛け合わせた「ライフハック心理学」を探求。執筆や講演を行う。著書に、ベストセラーとなったハックシリーズ『スピードハックス』『チームハックス』(日本実業出版社)のほか『先送りせずにすぐやる人に変わる方法』(中経出版)『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』(ソーテック)などがある。ブログ:佐々木正悟のメンタルハック

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