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コラム

山根一城の「今日からできる採用実践講座」Vol.2


書類選考は即日回答を。良い人材を逃さないための採用オペレーション

2017.10.03

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前回、採用活動において人材紹介会社に選ばれるようになるためには、という視点でお話をさせていただきましたが、実際に、人材紹介会社を利用して、求人広告経由で応募をいただいた後の「オペレーション」の部分がうまくいかないと機会損失をしてしまいます。

例えば、
・書類選考に要する期間が1週間程度かかってしまい、競合他社での選考がすでに1次面接に進んでしまった。
・書類選考通過の連絡はしたが、返信はなく、2週間経過したタイミングで催促の連絡を入れてみたところ、すでに他社で内定が出ており辞退されてしまった。
・1週間前に面接を実施したが面接結果の報告があがって来ず、面接官に確認をしたところ、どんな方と面接をしたかを覚えていない。

これらは採用現場でよく耳にする話です。

失うものは何も機会だけに限りません。
身近なところでは、求人広告企業からの取材に対応に要した時間や、「採用広報」と急かされWantedlyの募集記事を頑張って更新した時間などを思い浮かべてみてください。
人材紹介会社と毎月のようにミーティングを重ねてきた時間もあることかと思います。そうした苦労と時間をかけて、ようやく紹介してもらえたエース級人材がいたとしても、応募後のオペレーションが崩壊していると、すべて無駄になってしまうのです。
採用活動の上流部分をいくら頑張っても、オペレーションがうまくいっていない企業は必ず機会損失をしてしまっています。

言葉で説明されてしまえば、「そんなことは当たり前だ」と認識される企業の方は多いことでしょう。
では、なぜオペレーションを改善できないのか?

最大の要因は、他社がどういったオペレーションで採用活動をしているのかを知らないため、危機感(自社の採用オペレーションの甘さ)を認識している人が少ないからだと思っています。

本編では、採用オペレーションの中で山根が大事だと思うポイントを4つ紹介いたします。
数多くの企業をご支援させていただき、結果を出せたものの中から絞った4つです。人材紹介会社や求人広告経由で応募があるものの、なかなか内定に結びつかない企業の方でも、この4つのオペレーションをほぼこなしていただくことで、少なからず効果は出てくるかと思いますので、ぜひ実践してみてください。

目次
  1. 1.書類選考対応は1日以内に
  2. 2.面接日時滞留者への「催促ルール」を作る
  3. 3.面接結果滞留者を毎日確認する
  4. 4.最終面接前に志望度、他社進捗の確認
  5. 採用活動を改善し、スピーディーかつ丁寧に選考を

1.書類選考対応は1日以内に

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まず、求職者様と初めて接点を持つ書類選考の対応期間は書類を受け取ってから1日以内にするようにしてください。
理由は2つあります。

1つ目は、「応募直後の時点が、求職者様のご意向が最も高い時」だからです。

応募をしてみようかな、と求職者様が考えて、ご応募ボタンを押すまでにはあらゆる葛藤があります。応募時はそれを乗り越えたタイミングに他なりません。
そんな時に応募をしてから即日で、「書類選考合格です。明日にでもお会いできませんでしょうか?」という連絡を応募企業から頂戴した場合、どんな気持ちになるでしょうか? 応募者は、素直に嬉しいと思うはずです。

2つ目は、「応募をしているのは御社だけではなく、他10社以上同時応募している」からです。
現状の転職市場において10社以上の応募を同時並行で実施されていらっしゃる方は非常に多いです。それに対し、10社応募をすると半数程度の企業が1日以内に書類選考結果を連絡しているのです(業界によってスピードは異なりますが)。

そんな中で、応募日から1週間程度の時間が経過してご結果提示をしても、すでに他社は1次面接実施済だったりします。求職者様がどちらを優先されるかと言うと、スピードが速い企業です。
「ウチの企業は現場が書類選考をやっているから少なくとも3日は時間がかかってしまうんだよね」
よく耳にするお話です。

そうすると単純に計算して、
今日、現場に書類選考依頼を出したら結果が出てくるのは3日後。
明日、現場に書類選考依頼を出したら結果が出てくるのは4日後。
明後日、現場に書類選考依頼を出したら結果が出てくるのは5日後。
になります。

ただ、冷静に考えてみてください。
1日のうちに書類選考をしている「人数」は同じであるはずです。
書類選考であれば面接と違って、求職者様のスケジュールの都合に左右されません。あらかじめ現場に連絡をしておけば1日済ませることができるはずです。

今日、現場に書類選考依頼を出し、現場が頑張って当日回答をする。
明日、現場に書類選考依頼を出す場合は、現場が明日中に回答をする。
明後日、現場に書類選考依頼を出す場合は、現場が明後日中に回答をする。

前者と後者で応募数が同じだと仮定した際に、1日のうちに書類選考をしている「人数」は同じ数です。
ただし、前者は書類選考に3日かかっており、後者は書類選考に当日回答しています。
どちらも同じ数の書類選考…。
即日回答をしない理由はないですよね。

2.面接日時滞留者への「催促ルール」を作る

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せっかく書類選考通過の連絡を入れても、面接日時希望の返信がないという場合があるかと思います。
「返信こないなー。また連絡してみようかな。ただもう少し待ってみようかな」と考えていたら、気付いたら2週間経過してしまった。
急いで連絡をしてみると、すぐに返信がきて
「すみません。他社で決定してしまいました」
よくある事例です。これを防ぎましょう。

具体的には、
面接日時滞留者への「催促ルール」を作ります。

例えば、
・7/1に書類選考通過メールを送信していて、7/4に返信がない場合は催促メールを送信する。
・それでもなお、7/7に返信がない場合は、もう1通催促メールを送信する。
・さらに、それでもなお、7/10に返信がない場合は、もう1通催促メールを送信する。
というルールです。

上記の場合は、「中2日で返信がない場合は催促メールを送信する」というルールになります。
中2日で連絡をすると、求職者様に圧迫感を感じさせてしまうのではないか、という懸念があるかもしれません。
ただ、もしかすると「御社が送信した面接日時調整メールが、メールボックス内に埋もれてしまっている」可能性もありますよね。その場合、催促メールを送信したらすぐに返信がくることもあるのです。

圧迫感を感じさせたくないという方は少し間を長くして送信しても良いかと思いますが、ルールを作らないと間違いなく漏れが発生します。悪しからず。

3.面接結果滞留者を毎日確認する

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面接結果は基本的に「面接実施当日」or「翌日」までに提示するようにしてください。
「面接結果は検討のうえ連絡します」 と、よく面接官が言いますよね。ここで言う「検討」とは何なのでしょうか?
以下の3つに分類されるのではと思います。

①検討するための「時間」がほしい。
⇒面接官に判断は委ねられているが、判断をする「時間」がほしいパターン。 面接官に判断力が低い場合が多いです。

②検討するために上長に「相談」したい。
⇒次の面接官、もしくは社内のキーパーソンに面接結果を「相談」したいパターン。 能力的に判断に迷う求職者様はこのケースが多いです。

③別の候補者と「相対比較」をする時間がほしい。
⇒他の応募中の方の面接結果と比較をして合否を出したいパターン。 これもよくあるケースです。

上記のどのパターンに分類されるのかを把握するようにしましょう。 なぜこの把握が大事になるか。それは判断を早くするためにです。

まず、人事の皆さんにお伝えしたいのは
「検討時間は5分でも5時間でも結果は変わらない」
ということです。 これは面接結果の判断のみならず、日々の生活においても同じですよね。

ランチは中華にしようかファーストフードにしようか。 明日の休みは映画を見ようか、ヨガに行こうか。
日々の生活においても私達は判断の連続です。 その判断を5秒で決める方もいれば5分で決める方もいます。この判断の時間は 長ければ長いほど良い決断ができるかと言うと必ずしもそうではありません。

もちろん、最終面接結果で年収が1,000万円以上の方を選考する場合は話が別かも しれません。
ただ、メンバー/サブリーダークラスの採用などであれば、その方の 能力を信じて結果は即断したほうが良いと思います。悩んでも結果は同じです。且つ候補者様の印象も薄れ正確な合否ジャッチができなくなる可能性も上がってきます。また、早めにご結果を出して頂いたほうが候補者様からしても嬉しいかと思います。

また、別軸での話ですが、他の候補者の方と相対比較をする場合、 相対比較をするほど自社は求職者様から見て、または採用市場において魅力がある企業なのか、という点も考えてみてください。

前述した通り、求職者様は他社の選考を同時に受けています。 数日、面接結果が滞留してしまうだけで多くの企業の面接が進みます。 にも関わらず、「面接結果の通知を滞留する」。よくありませんよね。

蛇足ですが、 何より私個人として、判断が遅い企業ほど成長しないと感じています。 何百社の採用に携わってまいりましたが、大きく成長している企業様ほど 採用の判断が非常に速いです。私が携わった企業様の中では、Cygames社が その典型例かな、と思います。
2011年5月の設立から、わずか6年。現在の従業員数は1,600名を数えます。 また社員数だけでなく、スキルの高い社員が揃っている理想の企業様です。

4.最終面接前に志望度、他社進捗の確認

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最終面接を終え、評価も高く、内定を出そう! ということでメールにて内定提示をしたところ、求職者様からこんな返信が。
「ご内定ありがとうございます。検討させていただきます。回答期限はいつになりますでしょうか?」

よくありますよね。この返信があった場合は、入社承諾に黄色信号です。
おそらく他社の選考が進んでおり、回答期限内にできる限り相対比較をしたい、という内容が暗に含まれています。

内定を出した後は「ボール」を求職者様が持つことになります。 つまりその選考の主導権は求職者様側にあるのです。

ただ、最終面接結果がまだ出ていない時点では、主導権は企業側が持っています。 なぜなら求職者様もせっかく選考に進んだ企業なので、できれば内定を獲得したい!と思っており、企業側に気を遣ったコミュニケーションを取ってきます。 レスも速いでしょうし、返信内容も丁寧でしょう。

では、なぜ内定出しの大事な場面で主導権を求職者様に持たれてしまうのか。
答えは簡単で、「事前の情報収集不足」です。

スポーツの経験がある方はわかりやすいかと思うのですが、大事な試合の前は相手がどういった攻撃をしてくるのか、 誰がエースストライカーなのか、などを情報収集して事前に対策を打つかと思います。

営業活動でもそうですよね。 営業先の企業様のホームページを見て、事業内容、社員数などを確認し、社内に営業先企業の情報を持っている方がいないのかを確認。できるだけ情報収集をするかと思います。

ただ、それが採用活動の場では最終面接(スポーツでいうと大事な試合)の前に情報収集をしようという企業が本当に少ないんです。大事な面接のはずなのに相手(求職者様)の周辺情報を知ろうとしない。
もったいないですよね。

では、具体的にどのような情報を面接前に得ておけば良いか? というポイントなのですが、

・現状の他社選考状況
・志望順位
・転職活動の軸
・自社に対してポジティブに感じているポイント
・自社に対してネガティブに感じているポイント

などの情報があればベストです。
ただし、根掘り葉掘り面接前にヒアリングするようですと、求職者様がやや身構えてしまうため、本音の回答を引き出せないことが多くなります。そのため、あまり圧迫感を与えずに情報収集を進めたいものです。

やり方のひとつの例としては、 最終面接の日程が決まったタイミングで、求職者様宛に情報収集をする目的でメールを打ちます。
上記5つの質問が記載されたメールです。この質問の返信期限は「最終面接前々日まで」と記載してください。余裕を持って準備できるかと思います。

また、参考までにメールの返信がきた後の対応について、事例をいくつか記載させていただきます。

CASE①:他社進捗が3社。志望順位が2位。転職活動の軸は給与

⇒この場合は、すぐに内定提示をすると、志望順位が1位の企業の結果が出るまで 回答はしてくれないかと思います。なぜなら御社より志望順位が高いからです。 それぞれの結果が出揃い、年収など相対比較をしたうえで回答をしてくるかと思います。 そのため、「いくらの年収提示であれば、第一志望の企業を辞退して当社にご入社いただけますか?」と聞いてみてください。 突破口が見てくるかと思います。

CASE②:他社進捗は5〜6社。志望順位はまだ決められていない。転職時期も不透明

⇒この場合は、そもそも転職をする目的がぼんやりしてしまっているケースです。 内定提示をしても、本人が転職の決意までに至らず、辞退になってしまうことが多いです。 この場合は、「一度、選考ではなくフラットな立場で面談をしてみませんか?」と伝え、転職活動の軸を設定(提案)できれば良いかと思います。そのうえで、軸に沿った企業が自社であるのかという認識をしていただければ良いかと思います。

上記は、何千もある事例の中の2つです。
採用活動にもストーリーがあります。優秀な人材を採用するために事前の情報収集は必須であるわけです。

採用活動を改善し、スピーディーかつ丁寧に選考を

いかがでしたでしょうか?
おそらく上記4項目を完璧に実行できている企業様はいらっしゃらないのではないでしょうか。
そのこと自体が悪いとは捉えないでください。自社の採用活動を改善できる余地があるということです。

せっかくご応募をいただいた求職者様を、スピーディーかつ丁寧に選考を進めていけるよう、今回ご紹介したオペレーション改善の施策を実行していただければ幸いです。

【編集部より】
採用オペレーションに関する記事はこちら。

【編集部より】
内定承諾率を上げるために役立つ記事はこちら。


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執筆者紹介

山根一城(やまね・かずき)(株式会社Potentialight(ポテンシャライト) 代表取締役) 株式会社ネオキャリアに入社後、キャリアカウンセラー 兼 営業として4年従事。その後、IT/インターネット/ゲーム業界に特化した人材紹介会社の立ち上げに参画。2014年、同社取締役に就任。2017年4月に株式会社Potentialight創業。 これまで担当してきた企業実績700社以上。キャリアカウンセリング実績4,000名以上。転職先支援実績600名以上。転職決定率:同業カウンセラーの4倍程度。リクナビNEXT主催のキャリアカウンセラーランキングでは1位を獲得(3,000名中)。

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