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特集

【前編】細井智彦が教える中途採用成功術


「良い人がいない」という会社にありがちな4つの失敗パターン

2017.10.11

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厚生労働省によると、2017年7月の有効求人倍率は、バブル期のピークを超える1.52倍を記録しました。売り手市場が続く中、企業の採用活動は難しさを増しています。やみくもに採用活動をしても良い人材にたどりつけない時代に、企業はどんな人材戦略を立てればよいのでしょうか。

@人事では、これまでに300社以上の企業で採用の研修や講義を実施してきた転職コンサルタントの細井智彦氏に、中途採用を成功させるためのテクニックを取材。前編は、中途採用のトレンドと、よくある失敗の対策をお伝えします。(2017年7月取材、聞き手:尾越まり恵)

細井智彦(ほそい・ともひこ)

細井智彦事務所代表、転職コンサルタント。
大手人材紹介会社にて20年以上転職相談や模擬面接などの面接指導に取り組む。企画し立ち上げた面接力向上セミナーは12万名以上が受講する人気セミナーとして現在も実施中。採用企業の面接官向けにも研修・講義を開発し、人事担当から経営者まで、260社、面接官3000人以上にアドバイスをしている。2016年3月に独立し、フリーな立場から、引き続き個人と企業の面接での機会創出に取り組んでいる。著書『転職面接必勝法(講談社)』ほか多数。

目次
  1. 中途採用で失敗する4つのパターンとは
  2. 1. 社長と現場の目線合わせができていない
  3. 2.人事担当者と社長の連携ができていない
  4. 3. 既存社員の満足度が低く、リファラル採用がうまくいかない
  5. 4.スカウトメールを送っても候補者の心に届かない
  6. 早期離職から生まれる悪循環を防ぐには

中途採用で失敗する4つのパターンとは

細井智彦事務所代表、転職コンサルタントの細井智彦氏―現在の中途採用のトレンドを教えてください。

新卒採用は社会人経験のない学生を採用するため、「素材」を採る意味合いが強いのに対し、中途採用はこれまでの経験や知見を採ることになります。この基本的な考え方は変わりませんが、最近では中途採用の捉え方は少し変化していると感じています。

以前は、日本に根付く終身雇用の価値観の中で、転職者は「長く会社を続けることができなかった人」という先入観のようなものがありました。あくまでも新卒採用がメインで、中途採用はそれを補うためのものだったのです。

しかし、リーマン・ショックや東日本大震災を経て、現在では人材の流動性が高まり、社員と会社のつながりもゆるくなっています。

そんな中で、いま企業が中途採用に求めていることは、競争に勝ち抜くための人材を外から取り入れることです。例えば、新しいことに取り組むときに、社内の人材だけで対応するのは難しい場合が多い。その時に、社内にはない新しい知見を外から持ってくることが求められます。つまり、負けないために中途採用をするということです。

また、転職者を採用すると、社内の文化に多様性が生まれ、組織がしなやかで強靭になりやすくなるとともに、既存社員にも刺激を与えることができます。

―中途採用で企業が失敗するパターンと対策を教えてください。

どれだけ熱心に採用活動をしても、なかなか良い人材が採れないという声をよく聞きます。その場合、次に挙げる失敗パターンのどれかにあてはまっているかもしれません。4つの失敗パターンと対策を紹介していきましょう。

1. 社長と現場の目線合わせができていない

採用において最も大事なのは、社長の熱意です。社長がどれだけ本気で考え、人材の採用に取り組んでいるかが結果につながります。特に中小企業では、社長と現場の温度差が原因で採用が失敗してしまう場合があります。

大きく2つの原因があるのですが、ひとつは、社長が採用に前向きではないケースです。経営者としては、最小限の人員で、最大の仕事をしてほしいと考えます。現場の社員が「人が足りない」と言っても、それは効率が悪いからだと取り合わなかったりします。

しかし、その状況が続くと、当然現場は疲弊しますよね。社員たちが泣きついて、ようやく人を採用するのですが、そのような社長は、本気で会社を良くするために人に投資しようという意欲はなく、人をコスト、つまりただの人件費として見てしまうのです。それでは、良い人は採用できません。

もう1つはこの反対で、社長が突然、「会社を成長させるために、もっとエッジの立った人を採用しよう!」と言い出すパターンです。今までとは違うタイプの人が急に現場に送り込まれても、現場との壁が生まれて、結局離職を招いてしまいます。

これらを防ぐために、社長と現場のマネージャーがきちんと議論して、採用計画についてすり合わせておくことが重要です。どんな会社にしたいのか、そのためにどんな人を採りたいのか、社長がきちんと伝えて、現場と目線合わせをしておく必要があります。

その方針が定まれば、ほしい人材が採用できそうなのはエージェントなのかハローワークなのか、求人媒体なのか、適切な採用方法も決まってくると思います。

2.人事担当者と社長の連携ができていない

社長と人事担当者の信頼関係も大事です。採用活動で一番頑張っている人事の苦労を、社長が分かっていない場合も多い。社長が「絶対に良い人しか書類で残すなよ」などと言うと、人事担当者は選考に慎重になります。そこで、活躍する可能性のある人材を逃していることがあります。

現場は優等生の人材を選びがちですが、社長はちょっと面白い人を欲しがったりもします。例えば年齢が高いからと人事が敬遠するような人も、実際に社長と会ってみると意気投合することもあります。

だから、社長が「良いと思った人はどんどん選考を進めて」というおおらかな態度でいると、人事もやりやすいはず。人事担当者は遠慮して書類選考を厳しくしすぎず、少しでも良いと思った人は、どんどん社長に会わせるように働きかけてほしいと思います。

3. 既存社員の満足度が低く、リファラル採用がうまくいかない

いま、注目を集めている採用方法に、既存社員の友人や知人の紹介から選考する「リファラル採用」があります。

ただ、中小企業の中には、なかなか紹介者が集まらないというパターンも多い。大手企業と違い、ブランド力や財力に乏しい中小企業がリファラル採用を成功させるためには、良い会社になるしかありません。社員の満足度を高めることが、結局は良い人材を採用するための近道なのです。人に勧めたくないような会社には誰も来てくれません。

特に、今はブラックな要素がある場合は、根本的に職場環境を見直さなければなりません。従業員の満足度を上げられない会社は、おのずと淘汰されていく時代になりつつあると思います。

4.スカウトメールを送っても候補者の心に届かない

企業が直接候補者にメールを送ることができるスカウトメール。候補者が企業の情報を得ようとしてメール配信をOKにすると、山のようにメールが届いてきてしまい、かといってブロックすると一切情報が届かなくなってしまう、0か100かという様相になっています。

日々、大量に企業からのスカウトメールを受け取る候補者に、自社のメールを読んでもらうためには、送り手の工夫が必要になります。

たいていの人はスマートフォンでメールを見るので、スクロールせずにすむ最初の1~2行の部分に、受け取った人が「これは自分だけに宛てられている」と分かる内容を書いてください。例えば、「あなたのこんな能力を生かせるピッタリの仕事だと思うので、メールを送りました」など、受け取った人が自分のことだととらえられるかどうかが重要です。100人に同じ内容を送っていると思われるテンプレートのようなメールでは、候補者には読んでもらえません。

さらに、スカウトメールを通じて社内の説明会などに来た候補者に対して、「なぜ転職するの?」「どうしてうちの会社に入りたいの?」などと聞かないようにしてください。

というのも、いま、転職市場の傾向として、活動初期の段階の人が増えています。少し前であれば、相談会や説明会に来る人は、すでに何社か応募して、受からずに困っているという人が多かったのですが、今は「これから書類を書きます」「そもそも転職するかどうか悩んでいます」という人の数が増えています。

そういう意味で、スカウトメールは時流に合っていると思いますが、車の試乗会のお知らせくらいにカジュアル化しつつあると思ってください。

だから、企業はスカウトメール経由で来た候補者に、志望動機や転職理由は問わないでいただきたいのです。企業研究もしていないし、むしろまだ転職をはっきり決めているわけでもない人たちなので、彼らに対しては、自分たちの会社をプレゼンテーションするのが正解なのです。

早期離職から生まれる悪循環を防ぐには

―中途採用がうまくいかないときは、どのように原因を探ればよいでしょうか?

良い人が採用できない場合、妥協して理想とは違う人を採用してしまいます。それが結果として早期離職を招き、また採用をしなければならないという悪循環が生まれてしまうのです。

ただし、早期離職を繰り返す場合は、原因が本人にある場合だけでなく、そこに配属されている上司が原因の場合もあります。ある特定のマネージャーのもとで多く離職者が発生するのであれば、その上司を配置転換したほうが解決します。現場が風邪をひきやすい環境なのに、風邪をひかないタフな人を見抜く方法を教えてくれと言われても難しいのです。

早期離職には大きく2つ原因があります。1つは、そもそも入社前に、候補者に対してどんな会社でどんな仕事をしてほしいかを十分に相談できてないパターンです。実際に働いてみると「こんなはずではなかった」とギャップが生まれ、離職を招いてしまいます。

もう1つは、入社後に定着のためのフォローができていないパターンです。転職者は、多くの不安を抱えて入社してきます。今までの自分の力がどこまで通用するか不安なので、分からないことがあっても、「そんなことも知らないの?」なんて言われるのではないかと思って、相談できずに一人で抱えてしまう。結果、居場所がなくなって心が折れてしまうんです。

「居場所」は今の時代の重要なキーワードです。上司は無理に褒めなくてもいいので、挨拶をしたり、声をかけたり、ただ「あなたがそこにいることをきちんと認識している」ということが相手に伝わることが大事です。

後編でも引き続き、細井智彦氏が中途採用のポイントを解説。書類審査や面接のノウハウを紹介します。

細井智彦が教える中途採用成功術


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