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コラム

社員に選ばれる会社の人事制度・人材開発


ダイレクトソーシングとは何か? 定着の背景と3つの具体的な採用方法

2017.09.15

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さまざまな取り組みを通じて「社員に選ばれる会社」を作るポイントを解説する、人事のプロ・永見昌彦氏の連載企画。今回は、新しい採用手法として注目を集める「ダイレクトソーシング」のポイントを解説します。

目次
  1. ダイレクトソーシングとは?
  2. ダイレクトソーシングが進む、2つの背景
  3. ダイレクトソーシングを推進する、具体的な3つの手段
  4. ダイレクトソーシングのためのチャネルを活用し、内外に発信を

ダイレクトソーシングとは?

いわゆる中途採用の応募方法といえば、転職エージェント(以下、エージェントと記載)経由での応募か、転職サイトからの応募がこれまではメインだったと思います。

こういった従来の応募方法ですと、転職活動をしている、あるいは転職を検討している方々をターゲットにすることになり、そもそも転職を検討していない人材がターゲットから外れてしまうため、実はかなり対象者の限られた採用方法となります。

それは応募者側も同様で、自分が転職を検討しているときに募集しているポジションの中から、次のキャリアとしてふさわしいものを選んでいるので、ある程度限定された中での選択肢しかないとも言えます。

ダイレクトソーシングとは、文字通り「企業による直接採用」という意味合いです。今回は、ダイレクトソーシングとは具体的にはどういったものなのか、またそれによる影響度合いなどについて述べたいと思います。

ダイレクトソーシングが進む、2つの背景

ダイレクトソーシングが定着しつつある背景は2つ考えられます。

1.採用経費の削減

第一に、「採用経費の削減」が大きいかと思います。エージェント経由で新規に採用すると、採用された方の年収の30%程度の「紹介手数料」が発生します。例えば年収700万円のスタッフを採用したら、210万円です。1年間に同様のレベルのスタッフを10名採用したら、それだけで2000万円をこえます。エージェントが候補者をサーチし、場合によっては簡単なスクリーニングまで行ってくれますが、そのコストはかなり高いものと言えます。

2.採用確定までの期間の短縮化

次に、採用確定までの期間の短縮化もあげられます。Webサイトからの応募の場合は、候補者が応募しない限りは何も選考はスタートしません。そのため、企業側で「この時期までに採用者を確定させる」というようなコントロールは、やや難しいと言えます。さらに、エージェント経由の場合も意外と時間がかかります。既に取引があるエージェントに新たなポジションの候補者のノミネーションを依頼する場合、以下のような流れが想定されます。

  1. エージェントに新たなポジションの候補者サーチを依頼する(メール・電話など)
  2. 補足情報や募集背景などを説明する
  3. エージェントが候補者のサーチをする
  4. エージェントが候補者と会って、「1」「2」の情報を共有する。
  5. 候補者が検討後、エージェント経由で応募。
  6. エージェントから候補者の情報を入手し、選考スタート

「3」や「5」の結果次第では、それ以降のプロセスは発生しないかもしれません。また、複数のエージェントに依頼する場合は、その分、同じことを繰り返す必要があり、時間がかかるタスクであることは容易に想像できるでしょう。

ダイレクトソーシングを推進する、具体的な3つの手段

ダイレクトソーシングでは上記の課題が解決できる要素があります。具体的に3つの方法をご紹介します。

1.タレントプールの活用

最近は、企業の採用関連Webページにおいて「タレントプール」を用意している企業も外資系を中心に増えつつあります。「タレントプール」とは、以下のようなケースに当てはまる潜在的な候補者が、個人情報の登録、職務経歴書などのアップロードをするためのサイトです。

  • 該当企業に関心はあるが、すぐに転職したいというわけでない
  • 希望するポジションが現時点で募集していない
  • どのポジションが自分にとって適切なのか明確ではないが、その企業には興味があるのでそれをアピールしたい

この「タレントプール」の情報を採用担当者が照会し、直接コンタクトをとるケースも増えております。これは企業側にとっても以下のメリットがあります。

  • 登録している=その企業に高い関心がある、ということなので、選考した結果オファーを出しても辞退されるケースが通常より低い
  • 空席や新設ポジションが発生した際に、すぐに候補者を選出できる。そのため、選考期間の短縮化が可能となる
  • 紹介料が全く発生しない

私が勤務していた事業会社においても、採用関連Webページにタレントプールの機能がありました。そのため、多くの「自社に関心度合いの高い潜在的な候補者」の情報が登録されており、全世界中の採用担当者がアクセスできました。その情報を検索して、実際にコンタクトを取って採用につながったケースもありました。

2.SNSの使用

タレントプールを活用するということは、独自システムであれHR Techサービスであれ、「自前のタレントプール」を持つことを意味しています。しかし、これを持たずに同様の効果をもたらす方法もあります。

具体的には、LinkedInなどのSNSを使うことです。こういったSNSは、個人アカウントだけではなく採用担当者(部門)用に法人向けアカウントを用意しています。応募者は、個人アカウントにてユーザー登録し、職務経歴などを記載・公開します。そうすることによって企業からコンタクトされる、あるいは、反対に直接コンタクトを取ることができます。

SNSの場合は、一度に複数企業のタレントプールに登録することと同じことになります。企業側からすれば、「自社のことを知らない」方々にも声をかけることができるので、それをきっかけに興味・関心を持ってもらうこともできます。つまり、本当の意味での「潜在的な候補者」を見つけることができます。

3.リファラル採用の推進

また、在籍している社員が知人などを紹介する「リファラル採用」も企業の規模に関係なく広まりつつあります。スタートアップ企業だと、新規採用者のほとんどがリファラル採用によるものだった、というところもあるくらいです。

企業によっては、紹介した方が実際に入社し、試用期間を終えて本採用になった時点で、紹介者に一定の報奨金を支給する会社もあります(参考:採用が会社を変えた! リファラル採用を成功させる「7つのルール」)。企業によって金額は異なるとはいえ、そういった報奨金の方が、エージェントに支払う紹介料にくらべると格段に低いため、社員・企業の両方にとって有効な制度でもあります。

自分が所属している会社を知り合いに紹介するのは、少なくとも会社に対するエンゲージメントが高い社員とも言えます。応募する側からすれば、「どんな会社なのか」といった最も気になることについて、自分が信頼している方から情報を得ているため、企業に対する期待度などに大きな乖離が生じることも少ないでしょう。

こういったリファラル採用を推進していくためには、「採用は人事が行うもの」ということではなく、経営層がことあるごとに「企業にとっては、人が大切である」というメッセージを発信し、採用は全社で取り組むべきものという認識を社内で醸成していく必要があるでしょう。

ダイレクトソーシングのためのチャネルを活用し、内外に発信を

いずれの方法もダイレクトソーシングのための「チャネル」という位置づけです。こういった取り組みは、潜在的候補者に対するアピールだけではなく、「自社ではどんな人材を必要としているのか」「世間にどのような会社としてアピールしているのか」といった客観的な情報を、在籍している社員が知ることができる機会でもあると思います。

【編集部より】ダイレクトソーシングに関するこの他の記事はこちら。

執筆者紹介

永見昌彦(ながみ・まさひこ) アルドーニ株式会社代表取締役。外資系コンサルティングファームなどで人事コンサルタントとして勤務した後、事業会社(ラグジュアリーブランド持株会社)で人事企画担当マネージャーとして人材開発・人事システム・人事企画を兼務。事業会社、コンサルティングファームの両面から人事に20年たずさわった経験を活かして、2016年にフリーランス人事プランナー・コンサルタントとして独立。2018年に法人化。現在、人事全般のプランニング・コンサルティング・実務にたずさわっている。

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